マリエル・クララックの聖冠 / 桃春花

本の感想, お気に入り, 作者名 ま行桃春花

義両親と義弟とともに地方の親戚宅を訪れ葬儀に参列することになったマリエルだが、そこに仕事で王都に残っていたはずのシメオンが、ある事件を追って近衛隊の一隊とセヴラン王子とともに現れる。マリエルを事件から遠ざけようとするシメオンだが、最終的には隣国の王位継承問題に絡む事件にマリエルも巻き込まれてしまう。

マリエルが絡むと少々ポンコツなところを発揮してしまうシメオン様が良いものでした……(※仕事はちゃんとしている)

シリーズ7冊目は5・6冊目でちょいちょいと顔をのぞかせていた周辺諸国の戦争やらなにやらのドタバタにマリエルが巻き込まれてしまうお話でした。各国入り乱れてのの事件なので某国からのリュタンも登場。今回は結構シリアスでコメディ分は少なめでしたが(というかむしろ皆無……?)ラブ分はてんこ盛りでお腹いっぱいでした。いや、ラブの部分が十分コメディだったかな。ラブコメだし。それにしても、シメオン様ってこんなにポンコツだったかな?と思うくらいマリエルに関して狭量になるのがいいですね!この二人こんなに甘かったかなーと思って前の話の自分の感想その他読んだらやっぱり甘かった的なメモがあったので、このあたりは二人の結婚後の平常運転のようです。もうそろそ慣れねば(読者が)。

今後の創作活動のために「知りたがり」ではあるものの、結婚して分別もついて(?)、無理に事件に顔を突っ込まなくなっているマリエルなのに、見事に事件の中心にいるのはやっぱりなにか持ってるんだろうなぁというトラブル体質がすごいなぁと思います。物理的に無力なので基本的にシメオンに守られてばかりですが、そこに至る過程はまさしく巻き込まれだし(特に今回)、その洞察力で窮地を脱する力にもなるマリエルは読んでいてあんまりストレス感じなくていいあんばいです[1]守られヒロイン、たまにめちゃくちゃイラッとくるけどこのシリーズはそれがないのがいい……
今回は終盤マリエルとシメオンの逃避行という状況になっていましたが、そこでの頼れる(鬼)副長ぶりが最高でしたね。さすが表紙でメインのシメオン様。置かれている状況が状況だけに、いつもより二人での行動が多くて少しニヤッとしながら読んでしまいました。

そして、順調にマリエル信奉者を増やしているマリエル、本人が全く気づいないのに対して旦那さんは牽制しまくりで危機感があらわというこの対比も見どころの一つ。気の毒になるくらいシメオンの心配が本人に伝わっていないので、いつか伝わる日が来るとよいですね、と思わなくもないです。特に今回は年齢も近いからシメオンの危機感もいつも以上に強そうだし、これからも旦那さんの心労は続きそうです。

次回があるのならばリュタンの上司さんが登場される模様で(しかもコメディ分強そう)、これはぜひとも読まねばと思うので続刊に期待しています。

マリエル・クララックの聖冠
桃春花/まろ
アイリスNEO(2020.07)
amazon/honto/BOOKWALKER

References

1 守られヒロイン、たまにめちゃくちゃイラッとくるけどこのシリーズはそれがないのがいい……