廃墟の片隅で春の詩を歌え 愚かなるドードー / 仲村つばき

本の感想, お気に入り, 作者名 な行仲村つばき

革命により辺境の地に幽閉されていたイルバス王国の第三王女アデールは、隣国に逃れて王政復古を目指す姉の第一王女ジルダの腹心エタンにより幽閉されていた塔から助け出される。その後、王位を取り戻す準備を整えたジルダは、アデールを連れ国に戻り王位につく一方で、足場を固めるために、反革命派として国に残っていた伯爵家の従兄のグレンとのアデールの結婚を命じる。

甘さのかけらもないヒストリカル少女小説の開幕、面白かった!

電子書籍のみで発刊したコバルト文庫(もうすぐオレンジ文庫から紙の本が出るようです)の宮廷陰謀ヒストリカル少女小説全3巻の1冊目。「宮廷陰謀」とか「ヒストリカル」な少女小説が好きならこれはどストレートの直球だなー、というお話で楽しかったです。今までの仲村さんの物語って、シリアスな点はあれど(クスリと)笑えるところもあったのに、今回終始シリアスで雰囲気が全く違ってこれはこれで良かったです。

先王の子のなかで、王としての素質を一番持っていたものの、母や姉たちから抑圧されて「ただの末王女」という枠に閉じ込められていたアデールが、ある事件によって腹をくくり、家族が認め(そして多分恐れていた)素質を開花させた終盤の展開は手に汗握るものがありました。それまでは、とにかくこの子いい子なのに運がわるいというか、強烈な姉たち(第一王女第二王女)の間に挟まれて気苦労が絶えないところが辛いというか、早く伸び伸びと活躍してほしい!と若干のストレスを感じてしまうものの(途中で読みたくなくなるなどのベクトルのストレスではないです)、わりと容赦のないグイグイ読ませる展開に読むは全く落ちませんでした。

このお話は今の所わかりやすい悪役は不在、身内でも水面下で足の引っ張り合いをしているという状況で、どっちに転がるか(着地点がどこか)想像もしにくくて続きがとても気になります。アデールの結婚相手のグレンについても、今に至るまでの微妙なすれ違いと勘違い(主にグレン)の積み重ねがちょっと悪い方に進んでしまいそうで戦々恐々としてしまいます。普通に考えたら、いい夫婦になると思うんだけどなんせ甘さがない展開だからな……グレンのヤンデレ化という辛い展開もありうるような、いやあと2巻もあれば和解もできようという希望もあるというか。

今まで積んでいたのはまとめて3冊読むためだ!と前向きに考えて続きも読みたいと思います。

廃墟の片隅で春の詩を歌え 愚かなるドードー
仲村つばき/藤ヶ崎
集英社コバルト文庫(2019.10)
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