薬屋のひとりごと 10 / 日向夏
西都編が終わるまでに羅半兄の名前が明かされるかどうか、これが懸念事項になってしまった(面白かったです)。
シリーズ10冊目は刊行後即リアルタイムで読みました。達成感(9巻までは昨秋一気に読んだ)。
蝗害、滅ぼされた威の一族、消えてしまった風読みの民、アヒル、芋作はどこまで行けるのか、夜な夜な飛び回る怪異の飛頭蛮の不思議、玉葉后の「姪」と全部関係なさそうな出来事がきれいに繋がっていく(または繋がっていきそうな展開を見せる:一部まだ繋がっていない)お話の流れはさすがだなぁと思って読んでいました。すぱっときれいに繋がったときの爽快感がこのシリーズの醍醐味だとも思ってる、繋がったときになるほどーと膝を打つ単純な読者です。上記キーワード(特に前半)がとてもきな臭いところに終結しそうで、そしてこのシリーズはしれっと政変レベルの一大イベントをさらっと持ってくるという怖さがあるので(そこが面白い)、この先どうなるのかなぁと、続きが楽しみではあるものの怖いような。
皇弟としていいように使われてることを自覚しながらも第一線で動けない壬氏が、もどかしさを抱えながらもできることをしようとしているところは少々ホロリとしてしまいました。前に色々やらかしたので、猫猫相手には少々控えめになっているところもちょっと面白かったです。そして猫猫は無意識にスルーしてたり意識的にスルーしてたりというこのじれっとした攻防も面白かったです。ごちそうさまでした。
今回あまり見せ場のなかった壬氏ですが、側近には慣れてて効力があんまりない傾城の美貌を遺憾なく発揮し、それに被弾した羅半兄(もう最後まで本名出てこない気もちょっとしてる)ややぶ医者のシーンが好きです。そうそう、このシリーズのこういうところ好きなんだ(笑)。
今回は政争関係はちょっときな臭いレベルでしたが、いつ大炎上するのかハラハラしながら続きを待ちたいと思います。
薬屋のひとりごと 10
日向夏/しのとうこ
ヒーロー文庫(2021.01)
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