指輪の選んだ婚約者 / 茉雪ゆえ

本の感想, お気に入り, 作者名 ま行茉雪ゆえ

刺繍を刺すことにすべての情熱を注ぐ伯爵令嬢アウローラは、(ドレスの)刺繍を堪能するために夜会に参加していた。そこで、侯爵子息で近衛騎士でもあるがフェリクスが投げた「婚約者を決めるための指輪」あたり、フェリクスの婚約者候補としてアウローラが選出されてしまう。実は人見知りで社交下手というフェリクスを助けるために、期間限定での婚約を受け入れたアウローラではあるがフェリクスの実家の面々はこの婚約に乗り気であった。

評判通り面白かった!

web発作品、既刊7巻のシリーズ1冊目をようやく読みました。人気あるんだろうなぁと思っていたらいつの間にか結構冊数重なってて躊躇してるうちに冊数増えて……いろいろあってエイヤと読んでみたところ、これは人気なのわかる!おもしろい!と読了後そのままシームレスに2巻に手を出してしまいました。さすが人気作、面白かったです。

アウローラの刺繍狂ぶりと、フェリクスの度を越した社交下手というところ(と、あとは強烈なフェリクスの母と姉)以外は地に足がついたというか、どっしりとしたお話だなと感じました。魔法や何やらの不思議も、大げさに不思議ではなく日常に溶け込んでいるような不思議でパワーバランスを崩すようなものでもなく、なんというか心地よいレベルの不思議でした。魔法騎士とかそういう感じで戦ったりなんやらの派手な使い方もあるようですが。

アウローラは基本的に「刺繍>その他」で(これがどんどんフェリクスの比重が重くなっていくのが楽しい)、フェリクスはフェリクスで「え、そこから!?」というようなスタートなので二人の関係は遅々として進まないんですが、この進まなさもこれまた楽し。途中くらいからどう考えても両片想いで(本人たち以外は一瞬でわかるレベルの両片想い)、なんでそこで曲解するかなぁ、と外野でニヤニヤできるのも楽しかったです。あとはフェリクスさんの破壊力。甘い。あれを曲解できるアウローラの大物ぶりがすごかった。

ということで続きも楽しみです。2巻も読み始めているんですが初っ端からフェリクスさんのド直球がすごくて期待が高まります(笑)。

指輪の選んだ婚約者
茉雪ゆえ/鳥飼やすゆき
アイリスNEO(2016.09)
amazon/honto/BOOKWALKER