腐女子ですが、このたび推しの元に嫁がされそうです / 十帖

本の感想, 作者名 さ行十帖

転生前からの筋金入りの腐女子の侯爵令嬢フィニは自国の国王ロランをネタに日々妄想を繰り広げ、ついには自領で即売会まで主催するほど腐女子ライフを楽しんでいた。しかし、フィニの作品(ロランに関する妄想の結晶)を「フィニがロランにあこがれている」と誤解した父の手配で、未だに妻帯していないロランの後宮に入ることになってしまったフィニだが、ロランをまじかで拝めるチャンスと

(ヒロインの)壁エンドと半ば信じていたのにちゃんと少女小説だった!(面白かったです)

タイトル通りのお話で、物語の最初の一文にすべてが詰まっているお話でした。「腐女子は死んでも直らない」、とのことです。

地下に潜ってなくていいの?(それどころか、本人から活動を容認してもらう)、みんな感化されすぎ!(後宮に興味がない王様の後宮にいる女の子たち、暇だからね)、地位と財力に物言わせた即売会の主催者!(好き放題過ぎていっそあっぱれ)と序盤はこれは突っ込んだ方がいいんだろうかと少し悩んでいましたが、このヒロイン無双状態の展開が楽しく、途中からはあまり細かいところは気にならなくなってきたお話でした。

同志を着々と増やしていくヒロインと、自分を対象とした妄想も許してしまう王様の隠れ天然ぶりがなんだか楽しいわー、これはヒロインは壁(になって王様を見守る)ルートでもいいんじゃないかしら?と思って読んでいたんですが、いつの間にかちゃんと少女小説的な展開になっていて、しかもその少女小説的展開の塩梅が結構好みで、思ってたルートと違うけど楽しかった!というエンディングでした。
今までのご令嬢とだいぶ経路の違うヒロインに徐々に近づいていく王様と、「それはそれ、これはこれ」と悟るヒロインがよいものでした。

腐女子ですが、このたび推しの元に嫁がされそうです
十帖/緒花
フェアリーキス(2022.5)
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