龍ノ国幻想1 神欺く皇子 / 三川みり

本の感想, お気に入り, 作者名 ま行三川みり

九つの国からなる央大地の中央に位置する、龍ノ原を統べる皇尊が崩御した。次の皇尊候補として選ばれた三人のうちの一人、先々代の皇尊の子である日織皇子は、一族の女であれば聞こえるはずの龍の声が聞こえないことから、性別を偽り男として生き、そして皇尊となることを目指していた。先代皇尊の最後の頼みで先代皇尊の一人娘・悠花皇女を二人目の妻として迎えた日織は、「龍鱗を見つけ出した者が次の皇尊となる」という先代皇尊の遺言に従い、龍鱗を探すことになる。

オリエンタル宮廷(陰謀)ファンタジーで面白かったです。

男女逆転な和風っぽいファンタジー(あらすじから推測)、これ絶対面白いでしょうと思って(いつも通り)順当に温めておいた本作(現時点でシリーズ3冊目まで出てます)、1冊目をようやく読みまして、予想通り・評判通りとても面白くて一気読みをしてしまいとても満足です。1冊目を一気読みどころかすでに2冊目も読み始めてる次第で……(だってあんなラスト、続きがあるとなればそのままシームレスに読みたくなるじゃないですか……一応本巻だけでも決着ついているといえばついていますけど)

重厚、といいますか濃厚ファンタジーで、不思議に包まれている部分が「人にはいかんともしがたい」もののそれをいいことに「思考停止して有力者が一部の人を非人道的に扱っている」閉塞感と、これをどうにかしようとする日織や悠花の奮闘が頼もしくもあり、どうにかうまくいってほしいと願わずにはいられない展開でいろいろと手に汗握る展開でした。今回は悪役(敵役)のやってることと思考回路がどこからどう考えても悪役なので、この人たちはまあええことはないわな(成敗されるでしょう)という安心感はあるものの、クライマックスでのなかなか厳しい一手と、そっちからか!というような少々予想外の展開を見せた部分もあったので最後まで目が離せませんでした。

そして序盤に書いたように「こんなの続きもすぐ読まないとだめじゃないですか」というような結末だったので、速やかに続きも読みたいと思います。ちょっと重めの少女小説好きな人はたぶんこのシリーズはジャストミートだと思うのでお勧めです。

龍ノ国幻想1 神欺く皇子
三川みり
新潮文庫nex(2021.08)
amazon/honto/BOOKWALKER