薄幸な公爵令嬢(病弱)に、残りの人生を託されまして 前世が筋肉喪女なので、皇子さまの求愛には気づけません!? / 夕鷺かのう

本の感想, お気に入り, 作者名 や~わ行・他夕鷺かのう

唯一の肉親である弟の幸せを第一に生きる武闘派OL呉葉は、楽しみにしていた弟の結婚式の直前に川でおぼれていた子供を助け自分は命を落としてしまうものの、異世界の死にかけの病弱令嬢クレハの最後の力で呼びつけられ、クレハとして転生してクレハの人生を生きることになる。呉葉が転生したのちは、病弱だったクレハは奇跡の回復力を見せるが、クレハを溺愛する兄テオバルトの言いつけで「クレハ」は自室から出られない。暇を持て余した呉葉は屋敷を抜け出すが、街で女性を助けるために鉄拳をふるっていた姿をテオバルトの親友イザークに目撃されてしまう。

脳筋武闘派現代人が異世界に転生して擬態しようとするお話、面白かった。

筋肉はすべてを解決する、というコンセプトのお話1冊目。筋肉ですべてを解決するまっすぐでイケメンなヒロイン(呉葉)が楽しかった~。転生前の呉葉は29歳のOLなので、転生先のお兄ちゃんもお兄ちゃんの友人もクレハの年上とはいえ精神年齢としては年上、このあたりでロマンス方面に全く本人(ヒロイン)に意識が向かなくて無自覚にスルーして行ってるのも楽しい。

呉葉とクレハの秘密を知ったイザークの共犯関係というか、ある意味で双方が師匠と弟子という関係のやり取りと、クレハ命のテオバルトの反応のそれぞれが楽しかったんですが、テオバルトもただの妹バカではないところのスパイスが効いていてこちらもよかった。終盤の現代方面のフォローもあってよかったなー、これなかったらたぶんすごいもやもやしてしまうと思います、ヒロインだけじゃなくて読者も。

テンポの良い展開に、気持ちの良いヒロイン、ヒロインを落とすのに苦労しそうなヒーローと夕鷺さんのいいところがいっぱい詰まったシリーズで続きも楽しみ。

薄幸な公爵令嬢(病弱)に、残りの人生を託されまして 前世が筋肉喪女なので、皇子さまの求愛には気づけません!?
夕鷺かのう/南々瀬なつ
ビーズログ文庫(2021/10)
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