やり直し令嬢は竜帝陛下を攻略中 / 永瀬さらさ

本の感想, お気に入り, 作者名 な行永瀬さらさ

婚約者である王太子ジェラルドのある秘密を知ってしまったことから翌日にも処刑されることとなってしまったジルは、逃走中に王太子に出会う前で婚約直前の六年前の世界に戻る。王太子との婚約=身の破滅であることから、何とか婚約を回避しようと王太子と出会ったパーティーで偶然ぶつかった青年に求婚するが、求婚相手は六年後の世界で戦争をしていた隣国の皇帝ハディスであった。

前向きな男前ヒロインと実はヒロインポジションでは?というようなヒーローのなんともずれたやり取りが面白かったです。

物語スタート時におけるジルのおかれた状況や戦況からなんだかえらく血なまぐさいぞ?と若干身構えて読んでいたのですが、ハディスはその生育歴から恐ろしく天然鈍感(そしてジルも鈍感)で、どう見てもこの二人両思いではないか……という状況をハディスの保護者の突っ込みで折々に確認する、といったある種の様式美が面白かったです。途中の陰謀や王太子様の考えていることはかなり血なまぐさいし、両極端に振れるハディスのシリアスモードも怖いといえば怖いんですが、ハディスはエプロンが似合う男だからな……。エプロンが似合う男、という以外にもおそらく完全に闇落ちする前に絶対ジルが引き上げるというこのヒロインへの(読者が感じる)信頼もありましたしね。ジェラルドもねぇ……いい眼鏡なんだけどねぇ。

なんというか全体的に愛が重い感じなんですが、そのあたり含めてジルが何とかしてくれそうという期待を持てる頼りになるヒロインでよいものでした。続きももちろん買っているので(これ以外にもほかのシリーズも)このいろんな方面の重い愛の行方を追っていこうと思います。

買うだけ買って読んだ気になってた本作、読んだことある気がする、いやない?でも知ってる……と途中まで(私のあいまいな記憶に起因する)ふわふわさとともに読み進んでおりました。おそらくコミック版を先行して数話読んでいたという結論です。

やり直し令嬢は竜帝陛下を攻略中
永瀬さらさ/藤未都也
角川ビーンズ文庫(2020.3)
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