封印のエスメラルダ 夜明けを告ぐ魔女 / 山本瑤

本の感想, 作者名 や~わ行・他山本瑤

魔女として故郷を追われたクラウディアはフロラシオン王国で国王の庶子アドリアンにかくまわれる。アドリアンの野望の片棒を担ぐことを誓うが、現状は特に何をするでもなくアドリアンの庇護下に置かれる状況でしかなかった。
様々な人物から命を狙われているアドリアンだが、ある日クラウディアはアドリアン暗殺未遂事件の現場に立ち会わせる。犯人と目される人物はクラウディアの身近な人物であったが、クラウディアはその身の潔白を主張する。


エスメラルダ第2巻。わりとほわっとしたイラストに似合わず展開はかなり殺伐としてます。地味に実は結構好きです。少女小説系の宮廷陰謀モノというのは手軽に読めてそのわりに割といいとこついてるので好きなんですよねぇ。
王位を狙うアドリアンに、その手助けをすることでアドリアンの庇護下にいることを選んだクラウディア。アドリアンは各方面から命を狙われまくり、クラウディアの前にはその不思議な力を求めて彼女の前に現れる謎の人物。そしてクラウディアの初恋の人レオンハルトの婚約者として都にあがっているものの心の奥ではひねくれまくった愛情からクラウディアを求める姉のエルフリーデ。今の時点でラスボスはエルフリーデだね!と思わずにはいられない彼女の恐ろしさが出番少ないわりに際だってました。よく分からないんですが、これは世間でいういわゆる一つのヤンデレなお姉様というやつかなぁ(ヤンデレの定義をよく分かってない)。

クラウディアとアドリアンの間に甘い雰囲気は全くなくて「共犯者」とか「盟友」とかそんな感じの絆が徐々に醸成されていく過程が好きです。ある意味愛とか恋とかよりもしびれる関係ですねぇこれは。なんだか好きだなぁ。そして、クラウディアの見せる無償の愛といいますか、包容力の深さにも思わず感心してしまいます。徐々に国盗りのための布陣を整えていくように見える二人ですが、今後の動向が気になります。

img封印のエスメラルダ 夜明けを告ぐ魔女
山本瑤/香坂ゆう
集英社コバルト文庫(2008.02)
ISBN:978-4-08-601126-6
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