故郷に降る雨の声(下) バンダル・アード=ケナード / 駒崎優

本の感想, 作者名 か行駒崎優

謎の雇い主にようやく対面を果たし、今度は雇い主を敵地カルヴォからモウダーまで護衛するという仕事を得たバンダル・アード=ケナード。迫り来る敵軍をまきつつ道を進める一行の前にバンダル・アード=ケナードの道連れとなっている男を目当てに敵地に入ったバンダル・ドーレンが現れる。一方、ヴァルベイドの依頼でバンダル・アード=ケナードと彼らに護衛されているはずの商人を迎えにバンダル・ルアインまでもがカルヴォ入りを果たす。


とてもおっさん率の高いバンダル・アード=ケナードのシリーズ6冊目で謎の商人編の完結編。あらすじをごらんになったらよく分かるように登場人物はかなり多いと思うのですが(3つの傭兵隊が入り乱れている)、傭兵隊のアイドルの白狼エルディルちゃんと商人の奥さん以外は女子が姿形も見えないというすがすがしい布陣です。ここまで行くと行くところまで行ってしまえと思います。エルディルちゃんと商人の息子とその友達がかわいかったのでなんでもいい。

カルヴォを抜けるためにこそこそ移動しているにもかかわらず、先回りされるわ岩を落とされて道が崩落してみんなで落ちるわと、誰が犯人なんだとか誰が裏で糸を引いているんだ、という謎解き部分にとてもドキドキします。こすい手を使うのが得意なシャリース率いるアード=ケナードですからたぶん最後はうまくいくとは分かっているのですが、でもこの手に汗握る展開がさすが。
そして、タイトルからして何となく湿っぽい話になるのかぁと思っていたら中盤以降のとある人の告白から一気に湿っぽくなって最後は……、男泣きです。やっぱり最後はうまくいって気分爽快、という展開ではあったのですが、今回はいつもと違って男泣きの展開なので切ないものがありました。

何となく好きなこのシリーズ、次があるのであれば女子が出てくる話を!らしいのでとても楽しみにしています。隊長に迫るご令嬢とかどうですかダメですか?

img故郷に降る雨の声(下) バンダル・アード=ケナード
駒崎優/ひたき
中央公論新社 C-Novels Fantasia(2008.08)
ISBN:978-4-12-501046-5
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