風の王国 星の宿る湖 / 毛利志生子

本の感想, 作者名 ま行毛利志生子

聖寿大祭に間に合うように、ラセルをつれてヤルルンに急行した翠蘭。つつがなくラセルとイェルカのお披露目を終えることができたのもつかの間、ソンツェン・ガムポ大王に今後の身の振り方について問われた翠蘭は、ラセルのために決断を下す。そして、ソンツェン・ガムポより一刻の猶予を与えられた翠蘭は、リジムの妹が嫁いだシャンシュンに大王の使者として向かうこととなるが、シャンシュンでの扱いは酷いものであった


風の王国の新章のスタートとでもいうべきお話は、翠蘭の”決断”とシャンシュン行きのお話でした。決断関係はどう表現するのかな、と興味津々だったんですが、なるほどなーと翠蘭の思いに納得がいく形での回答でした。

いつも荒波の中に飛び込んでいく翠蘭が飛び込んだ今回の騒動は、隣国シャンシュンでのあれこれ。本読みながら本気でむかっとしたの久しぶりだわ。読者が腹立てても仕方がないとは分かってはおりますが。このお話のことですから後味悪ーとか思わせつつもきっと最後はなんやかんやでうまくいくんだろうなーと心の中では分かってはいるのですが。今回は腹立ちも最高潮に達したくらいにカタがつきましたが。
シャンシュン関係もはじまったばかりでこれまたすっきりせず、非常にモヤモヤした幕引き。登場人物の言葉を借りると『人間こそが、もっとも質の悪い敵になる』いう状態の国の中枢のようですが、はたして翠蘭はどんな陰謀に巻き込まれていくんでしょうか。今まで出てきた「悪役」の中でもかなりタチの悪そうな人が暗躍してそうですので、続きが気になります。

img風の王国 星の宿る湖
毛利志生子/増田メグミ
集英社コバルト文庫(2008.10)
ISBN:978-4-08-601215-7
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