海のさいはて 天国の扉 ワケあり海賊と奴隷な幻獣姫の大冒険 / 相羽鈴

本の感想, 作者名 あ行相羽鈴

港町で強くたくましく生きるストリート・キッズのランは、ある日突然何者かに捕まり奴隷市場に送られる。市場でランを買ったのは、とある海賊船の船長。船長曰く、どうやらランは「呼子の海姫」と呼ばれる幻獣界への入り口を見つけることができる唯一の存在らしい。慣れない船上での生活に四苦八苦しつつも、なんとかもとの町に帰ろうとするランだが……


コバルトのノベル大賞受賞作家さんのデビュー文庫。元気なヒロインにいろいろ事情を抱える海賊達の海洋冒険モノ……かもしれない。あんまり冒険してないけど。

ランがとても元気で前向きで、背景はわりとシリアスなはずなのにアップテンポにすいすい読んでいけるところは面白かったなぁ。海賊さんたちも「海賊」というわりにはあまり海賊をしていません。ちょっと軽すぎるのがダメだというタイプの方にはオススメできませんが……。
女人禁制の海賊船で持ち前のガッツを発揮して海賊さんたちと仲良くなっていったり、ランと船長の距離がどんどん近づいていったりとお約束な展開はすべて兼ね備えられております。ここらへん期待する分には期待を裏切らないものかと。
海賊たちの事情が明かされてからの着地点がちょっと面白くてまさかそうくるとはーという展開に驚きでした。新境地の決着の付け方。ラスト近くのやりとりというか愛の告白周辺、胸キュン要素ももちろんありましたがかなり面白かったです。もう苦笑するしかないですねこのバカップル。

個人的には結構好きな部類のお話ですので今後も要チェックな作家さんかな。

img海のさいはて 天国の扉 ワケあり海賊と奴隷な幻獣姫の大冒険
相羽鈴/湖住ふじこ
集英社コバルト文庫(2008.12)
ISBN:978-4-08-601240-9
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