眠り王子と幻書の乙女 / 秋永真琴

本の感想, 作者名 あ行秋永真琴

良家の子女が通うゲオルギウス学院に外部入学を果たした庶民のマーヤ。合格祝いにと豪快な祖母から渡されたのは<ナユタズ・ロスト>と呼ばれる幻の本だった。本の内容を解読するため、学院内の有名人レイジとその従者レン、そして図書局長アキラらとともに、マーヤはその謎に立ち向かうこととなる。


B’s-LOG文庫新人さん。
庶民派の女の子が超名門全寮制の学院に入学し、学院のアイドルの寝るか食べるの王子様(系)、王子様命の従者、書物命の図書館局長と、<ロスト>と呼ばれる貴重な本の謎を追うお話。登場人物たちがテンション高めに繰り広げる漫才が面白かったです。誰が何と言おうと、基本的にはコメディだと思います(きっぱり)。
失われた魔術にかかわる貴重な本を巡り、反体制派の暗躍や王子様の秘密などいろいろ気になる展開てんこ盛りです。ラブ方面は急加速でちょっともったいないなぁと思います(若干上滑り)。もっとじっくりいったらとてもおいしい展開なのに。

舞台はとてもカオスでした。気にならない分には全く問題ないけど、一度引っかかってしまうと最後まで違和感を感じるタイプかな。トーキョーにシバコウエン、登場人物の名前は漢字とカタカナ交じり。元貴族だのなんだの引っかかりポイントがたくさんあって危険です。基本的には気にならない(というか結構ウェルカム)なんですが、中盤名前で引っかかっちゃってですね……。なんで漢字名なのにみんなカタカナ!というかそこらへんで。
旧魔術関係の謎に迫るというかなり壮大な物語になりそうですが、話が学院の内部だけで完結しすぎるのもちょこっと気になるかな。外の空気を全然感じられなかったので、続きがあるならそのあたりが語られる事を期待したいと思います。

img眠り王子と幻書の乙女
秋永真琴/坂野景子
B’s-LOG文庫(2009.04)
ISBN:978-4-7577-4823-1
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