そして花嫁は恋を知る 青の大河をのぼる姫 / 小田菜摘

本の感想, 作者名 あ行小田菜摘

ブラーナの末姫プシュケはネプティスの新国王レトムゥールに嫁ぐことになる。以前から憧れていたレトムゥールに嫁ぐということで急ぎネプティスに入ったプシュケだが、彼女を出迎えたのはレトムゥールと結婚するはずだったという前王の娘アーケスメイア。レトムゥールの真意が見えず、不安を感じるプシュケであったが……

いつも以上に「恋」成分が薄いように思いましたが……でもそれもこのシリーズの醍醐味。

前作(アンナマリア)・前々作(エリスセレナ)の妹姫、プシュケが満を持しての登場。お相手は以前見事な当て馬っぷりを披露してくれたレトムゥール氏。今回の花嫁は最初から恋する乙女全開だったので「恋を知る」ではありませんでしたが、真綿にくるまれ大事にされてきた姫君が、自分の感情だけではなく周囲の状況を読み取り、できることをしようと成長していく姿がよろしいです。女の子同士の意地の張り合い的喧嘩も個人的にはとても好物です。

今回、惜しいなぁと思ったのがレトムゥールの心情があんまり描写されていなかったところ。あくまでも妹のように大事に接する姿はとても紳士的で、そして最後の最後にちょっと前進したな、という描写はあるものの終始頼れるお兄さん的ポジションだからなぁ。こう、ラストのあれ以外にもプシュケにころっとデレデレしているシーンがあればもっと楽しかったのに!と思わずにはいられません。

何のかんのでまだまだスタートしたばかりの二人なので、姉(エリスセレナ)のように続編とかとても期待したいのですがダメですか!待ってます。

imgそして花嫁は恋を知る 青の大河をのぼる姫
小田菜摘/椎名咲月
集英社コバルト文庫(2010.05)
ISBN:978-4-08-601405-2
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