レッド・アドミラル 羅針盤は運命を示す / 栗原ちひろ

本の感想, 作者名 か行栗原ちひろ

英雄であるオルディアス提督に憧れて海軍への配属を望むロディアであったがその願いはことごとく却下され、近衛隊に籍を置きながらいつか軍艦に乗ることを目標にしていた。そしてとあることから有力貴族に命を狙われたロディアは、レーン号の艦長・ランセに助けられる。半ば強引に見習い士官としてレーン号に乗船させられることとなったロディアは、個性の強いレーン号の士官達に振り回されつつも憧れの艦船勤務に励む。

帆船は萌えるよね

男装の麗人+帆船 [1]でも帆船はいいとかいいながらそんなに詳しくないというどこがターゲットですか私ですか?という素敵な栗原さんの新作。実はちょっとシリアス目かと思っていたんですが全くそんなことなく、レーン号の面々がおかしすぎて大変でした。この会話のテンポは栗原さんの(軽めの作品)ならではだなぁ、などと。真顔で読めるので外で読むのも問題ないです(ゴロゴロ系ではなくてアホ系)。

ロディアはヒロインというよりむしろヒーロー街道をまっしぐらに突き進んで行っていてとても頼もしくて私好みの男装の麗人です。ごちそうさまです。レーン号の愉快な仲間達もおもしろすぎて……これはいい。一番のお気に入りは(たぶん今のところ(私の狭い周囲で)一番人気の)女装の軍医さん。女装と男装をとりそろえるとか何このサービス精神、ということに今気付きました。
クライマックスの熱烈な告白は、字面だけ追っていたら最終巻かこれ、というほどの盛り上がりだったのですがなんせ艦長のこれまでの言動を考えると、よかったねぇという感想しか思いつかず(笑)。おかしい、普通はなんだ余人を寄せ付けないらぶっぷりは!程度の感想を思いつくはずなのに全く萌えない……好きですが。

なんだかラスボスはかなり大物で、世界を揺るがす大戦争になりそうで続きも楽しみだ。今回は割に軍医さんにスポットが当たってたので、次は中身乙女、無口少女、無駄に美声の誰かにスポットが当たるのかな?

imgレッド・アドミラル 羅針盤は運命を示す
栗原ちひろ/榊空也
角川ビーンズ文庫(2010.05)
ISBN:978-4-04-451414-3
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References

1 でも帆船はいいとかいいながらそんなに詳しくない