薔薇は聖なる都で咲き誇る / 小田菜摘

本の感想, 作者名 あ行小田菜摘

政略結婚を繰り返しているマリアンジェラは四人目の夫レオナルドとともに生きていく決意をし、二人はマリアンジェラの兄アルフォンソ、そして彼女の実父であり聖王のクレメンスと「戦う」道を選ぶ。そんな折、アルフォンソが異教徒との戦いに勝利したためその祝賀会に二人で向かうことになるが、アルフォンソの勝利は主戦派を勢いづかせるものであり、戦いに関与したくないレオナルドに新たな問題をもたらす。

おとーさんとおにーちゃんが、これでもかというくらい「悪役」だなぁ。あっぱれ。

読み切りかな?と思っていた所に続きの2冊目。今回のテーマは「新キャラクターは出さない」とのことでしたが、新キャラクターがいなくてもどぎつい悪役が二人いるので、それほど大きな問題ではなかったような、そんな続きの物語です。悪意が悪意と執着を産み、そしてそれがとある過去の大事件に絡んできて……と相変わらず小田さんん描かれる「悪役」は、いい具合に「悪役」である意味よみごたえがありますよねぇ。あー、ふたりともイライラする(褒めてる)。マリアンジェラとレオナルドの、お互いを思い合う絆はこの悪役たちの前では浄化剤以外の何者でもありませんね。

小田さんらしいちょっとお固めの政治方面のお話も、なるほどそこか、というところをついてきて、そしてどうやって収めるのかなーというところもきれいに納得の展開で面白かったです。続くといえば続くし、これで終わりといえば終わりなんですが……また続きが出るのもお待ちしております。

薔薇は聖なる都で咲き誇る
小田菜摘/まち
集英社コバルト文庫(2014.04)
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