暁の王女 名を持たぬ聖女と紫の王 / 白洲梓

本の感想, 作者名 さ行白洲梓

エンズレイの第二王女アイリーンは、子どものいなかった王妃の側近夫妻の養女となる。実の両親からも養父母からも愛情を注がれて育ったアイリーンだが、初恋の人である姉の婚約者への恋は叶わなかった。そんな中、王女としても養女としても中途半端な立場から前に進もうと、アイリーンは国家に関係なく負傷者や病人を救う「名もなき聖女」としての活動をはじめる。

全般的に女性陣が強いお話。

前作の子ども世代のお話、ということに途中で気づいたものの、前作のことあまり覚えてないな……と悩みながらもとりあえず読み切りました。そういえば、王妃様とその腹心の人はなんか強かった。

宮廷の影の権力者の養母に育てられたわりにはまっすぐいい子に育ったアイリーン、王族でありながら臣下として育てられるというどっち付かずの状態から脱却しようと外に出るも、仲間の聖女をうまくまとめられず、さらにはさらわれて、人質になって、あらためて聖女活動をして……と踏んだり蹴ったりな状況の中、自分の生き方を見出し、存在価値を高めていく、というようなお話でした。
アイリーンの立身出世(でもないんだけどそのようなステップアップ)が面白く、そこにほんのりラブもあるよ、というような味付け具合が白洲さんの作品の特徴かなぁと感じつつも、ラブ方面もほんのりながらもなかなかよいもので、よい大河小説風味少女小説でした。

暁の王女 名を持たぬ聖女と紫の王
白洲梓/池上紗京
集英社コバルト文庫(2016.12)
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