双剣の乙女 待ってて、私の旦那様! / こる

本の感想, 作者名 か行こる

幸せな結婚を夢見る辺境の村娘ウィルラだが、体内から武器を出すことができる「武人」の能力を持ち、そして冒険者の両親に鍛えられたせいで村では敵なしとなってしまった。現状打開のために都会に向かおうと、村に立ち寄った冒険者二人組に都市部への同行を依頼したウィルラは、戦闘力があることを隠しながら一緒に旅をすることになる。

ヒロインちゃんの豪傑ぶりが楽しかったです。

ある意味最強状態のヒロインが、都会に行けばいいことがあるはず!と二人組の高ランク冒険者に無理やり同行して夢の婿探しに出かける、というような話。その能力と、スパルタ教育のお陰で強くなってしまったのに必死にその強さを隠して普通の女の子のふりをしようとするウィルラの涙ぐましい努力が良いものでした……かわいい。
個人的には持ってる能力は最大限使えばいいじゃないの、という考えなのですが、持ってる能力隠して普通の幸せな人生を!と考えるのもそれはそれでありよねーという結構適当な信念の持ち主なので、たとえ自分の主義主張と反するヒロインでもコレはコレで美味しくいただきました。
一方の、ウィルラのお世話をすることになるアンフィルさんとボルッツさん、この二人も色々わかってるけど知らないふりしてるんだろうなーというようなあれこれや、ウィルラを「戦士」として扱わず、ウィルラに気付かれないようにさり気なく気を配っているところがこれまたよいもので。アンフィルさんがその恵まれた容姿から大概淡白な対応をしているものの、実は結構序盤からウィルラに対しては甘いよね、というところもあってこのあたりも楽しかったです。

ウィルラの微妙な乙女心が楽しい一冊でした。

双剣の乙女 待ってて、私の旦那様!
こる/朝日川日和
一迅社文庫アイリス(2016.10)
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