屋根裏部屋の公爵夫人 / もり

本の感想, 作者名 ま行もり

不名誉な噂をたてられ、結婚を諦めていた伯爵令嬢オパールだったが、困窮している公爵家との縁談を父がまとめてくる。しかし、嫁いだあとも件の噂と公爵の誤解とオパールの初手のまずさから公爵家で粗略に扱われる羽目に陥ってしまったオパールは一念発起し、瓦解寸前の公爵家を独自に立て直すことを目論む。

たくましいオパールの奮闘が楽しかった。

噂と不幸なすれ違い(序盤)により嫁ぎ先で冷遇される公爵夫人が、それなら乗っ取ってやろうと公爵家の再建に取り組むお話。悪役らしい悪役はおらず、いろいろと残念なことが重なって困窮している公爵家の面々と、女性が領地経営を行うなどありえないという社会で父の傍ら領地経営の基本を習得していたため、現状打破のために果敢に行動するヒロインさんの対比が面白かったです。中盤のくらいの逆襲開始のところは、いわゆる「ざまぁ」的な展開ではあるのですが、そしてあのシーンはスッキリすることはスッキリするんですが、そこよりもその後の「公爵夫人の細腕繁盛記」のワクワク感がいいものでした。やれば出来る子だった公爵様が開眼して実績を積んでいく様子もいいねぇ、成長を感じる。オパールの荒療治が功をなして、各人がやるべきことをきちんとやりだしてからはストレスフリーで楽しかったです。

最後の最後も、なるほどそっちの選択肢ねぇと思いながらも、選ばれなかった方との未来も読んでみたいなぁと思ったのですが……女性の十代後半からの10年間を奪った罪は重いよなぁ(たぶん)とも思ってしまうので、この着地点で良かったなぁと思います。続編も確保しておりますので、オパールの幸せな様子が拝めるものと期待しています。

屋根裏部屋の公爵夫人
もり/アオイ冬子
カドカワBOOKS(2018.06)
amazon/honto/BOOKWALKER