鬼恋語リ / 永瀬さらさ

本の感想, 作者名 な行永瀬さらさ

混迷を極めた人と鬼との争いの一時休戦に伴い、自身の兄・雪疾を討った鬼の棟梁・緋天に和平の証として嫁ぐことになった冬霞。緋天のもとで兄の死の真相を探る冬霞は、嫁ぐ前に教えられていた状況と緋天が語る状況との食い違いに気づく。

ヒロインちゃんがかわいい小生意気で小気味よくてよかった。

鬼と人とが争う世界での異種婚姻譚。ヒロインの冬霞は年齢のわりに(?)大人びている数え歳で十二歳の口達者な少女なんですが、初対面の段階から緋天をリードしまくる頼もしさが光っている子でした。一歩間違えれば小生意気、なんですがそうではなくギリギリかわいいとい立ち位置が絶妙なバランスです。対する緋天は、鬼なのに人が食べられないという和平派(ただし最強)で普段は縁側でお茶すすってるのが似合いそうなくらいの朴訥さで、かなりの序盤から冬霞の尻にしかれている感がよいものでした。いいのか……(要所要所ではかっこいいのでたぶんいい)。個人的な希望としては7年後くらいの主役二人の様子がとても読みたいです、特に相変わらず尻に敷かれている旦那さん。

緋、蒼、そして黄の3つの鬼の部族の特徴、それぞれの部族の特徴に応じた長の違いも面白かったです。多分一番美味しいのは黄の一族(笑)。長も、抜け目のないあの鬼もとにかくいつもいい場所にいそう。現実的な黄一族、脳筋の蒼一族と、なんのかんのと一番人と距離の近い緋一族とこの三つ巴も面白い。

登場人物はそれほど多くないので、メインの悪役は多分あの辺りだろうなというのは外すことなく読み解けましたが、メインじゃないところは想定外で、(この感想書くためにパラパラと序盤を読み直していたら)あのセリフが、こう!とちょっとゾクッとするところがありました。あとから気づくこの布石、本を読んでいて楽しいなと思う醍醐味です。

鬼恋語リ
永瀬さらさ/ねぎしきょうこ
オレンジ文庫(2020.02)
amazon/honto/BOOKWALKER