わたくし、恋愛結婚がしたいんです。 カタブツ陛下の攻略法 / 青柳朔
完璧な令嬢と名高いが実はロマンス小説を愛読し恋愛結婚に憧れる公爵家のエミーリアは、国王マティアスとの結婚が決まったあとの初めての顔合わせの場において、婚約期間の間にマティアスと「恋愛関係」になることを宣言する。まずは二人の距離を縮めることから始めるために、エミーリアはマティアスに毎日手紙を出すことにし、マティアスはいつの間にかエミーリアの手紙を心待ちになるようになっていた。
最初から最後まで常時安心して読める可愛いお話でした。
淑やかな貴族令嬢の鑑といわれてはいるものの実は行動力のあるエミーリアと、とあるトラブルを経て女嫌いになったものの結婚の必要性は理解しており面倒くさいながらも婚約した国王マティアスのそれほどジレジレしてないラブストーリーで面白かったです。陰謀なし、黒幕なし、当て馬なし、ストレスたまりそうな身内はなしと心穏やかに読める物語でした。たまにはこういう安心安定のお話もいいものだ……。
安心安定とはいうものの、マティアスは女嫌いなのでどのようにしてエミーリアに転がっていくのかなぁという楽しみはありました。エミーリアがめちゃくちゃいい子なので、これはもう正攻法で押していったら勝てるでしょう（攻略法）と思って読んでましたが、まさしく正しく攻略していくエミーリアと、傍から見たらそれはもう恋だよというマティアス、そしてお互いのちょっとした深読みからのちょっとしたすれ違いとニヤニヤしてしまうやり取りが楽しかったです。
せっかくのそこそこの年の差なのにあんまり年の差感がなかったのと（もうちょっと年の差ならではの何かがあっても良かった）、表紙は特に違和感なかったのですが中のモノクロイラストが全体的にもったいないなぁというようなところはあったのですが、総じては楽しく1冊読めましたので満足です。
わたくし、恋愛結婚がしたいんです。 カタブツ陛下の攻略法
青柳朔/黒裄
角川ビーンズ文庫（2021.01）
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