陛下、心の声がだだ漏れです! / シロヒ

本の感想シロヒ

小国ラシーから大国ヴェルシアの皇帝の第一妃として迎え入れられたツィツィーは、他人の心の声が聞こえてしまうという不思議な力を持っていた。冷酷無比と周囲から恐れられる皇帝ガイゼルの心の声は他の人の声よりはっきり聞こえ、ツィツィーにベタ惚れ状態であるという状況にツィツィーは翻弄される。

可愛いお話だなーと思わせて中盤以降は結構ジェットコースターだったのが良かった。

ほっこりかわいい少女小説が読みたくて、手にとった作品。片方が鉄面皮なものの実は内心メロメロというのはある意味鉄板の、(私の好物な)設定ですが、今回はそれに加え相手方にそれがすべてダダ漏れというニヤニヤ展開でした。鉄面皮側にはそれがバレてないのでとどまることを知らないベタぼれ状態が面白くて、いいぞもっとやれーというようなジレジレぶりがたまらんです。ヒロインちゃんはもちろんかわいいんですが、ヒーローさんも一周回って可愛かったです。顔に出ないけど心で動転してるのはいい。

二人のすれ違いっぷりというか、いやもうどう考えてもバカップルなのになんでそうならんのだ(ヒーロー側が気付いていないので)、というところを周囲がニヤニヤ見守る話と勝手に思っていたんですが、途中で政変は起きるし外患誘致とかいう物騒な単語は出てくるしの展開で、ただのバカップルの話じゃなかったんだ!といい意味で裏切られました。しかし、足場を固めきってない皇帝が単独行動するとそうなるよね、いやまず大国の皇帝のその日数の単独行動はない……などと細かいところにツッコミを入れ始めると始まるもんもはじまらないので、そのあたりをさらっと流して、とにかく二人の可愛さが良きものだったので、総じていい作品でしたー2巻目も確保してるのでぼちぼち読みたい。

あとはやっぱり雲屋さんのイラスト好きだなーかわいいしかっこいいしお話にぴったりでした。

陛下、心の声がだだ漏れです!
シロヒ/雲屋ゆきお
ビースログ文庫(2021.03)
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