金星特急1 / 嬉野君

本の感想, 作者名 あ行嬉野君

謎の絶世の美女「金星」。そして「金星」の花婿を選ぶためにどこから都もなく出現する「金星特急」。東京駅に出現した「金星特急」に乗るために、世界各国から男達が集い、命がけの旅がはじまる。そして、その中に日本の男子高生・錆丸もいた。

いろいろ謎すぎてページをめくる手が止まりませんでした。

嬉野さんの新シリーズ開幕。前作に引き続き現代日本が舞台なのかと思えば、現代であることはたしかなんだけど、ここにたどり着くまでの歴史ががだいぶ私の知っている「歴史」とは違うような、そんななんとも不思議な世界を舞台にした物語でした。不思議といえば、「金星」の正体やその力も不思議すぎて。1巻終わった段階でほとんど何も解明されていません。気になる!
「金星」の花婿となるために集まり、錆丸とかかわることとなった人たちも謎といえば謎。今回は軽く自己紹介程度の情報開示しかされておらず、こちらも気になる!展開です。錆丸は本気で「プロポーズ」のために乗り込んだようですが、砂鉄やユースタスはいろいろ事情がありそうだな。あと、灘さんがかっこいい(最近軍服に無条件で弱い)。そう、陸軍ですよ!日本に陸軍があるんですよ!(と、現代との違いを声高に主張)。

ナニーの3巻で、わりに容赦のない展開に持って行かれる方だなぁと思っていたのですが、今回は今までのコメディ部分がかなりを潜め(いやでも錆丸の能天気さや彼に巻き込まれてのやりとりはある意味コメディ)、結構シリアス目な展開。それでも重く沈み込むことはなく、この方の文章のテンポが好きだなぁと思いながら読んでいました。舞台となる世界の状況や、金星その他の謎がとても謎なので素直に続きを待ちたいと思います。

img金星特急1
嬉野君/高山しのぶ
新書館ウィングス文庫(2010.01)
ISBN:978-4-403-54148-3
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