道果ての向こうの光~二人の聖女と遠い約束~ / 秋月アスカ

本の感想, 作者名 あ行秋月アスカ

期間限定で聖女シェリアスティーナの体に入ったユーナは、自分のできる範囲で周囲との溝を埋めるべく少しずつ行動する。ユーナの姿を見て徐々にシェリアスティーナに対する周囲の態度も軟化してきたが、シェリアスティーナとして行動すればするほどユーナはシェリアスティーナ本人ではないことに悩みを募らせる。そして、シェリアスティーナが残酷な行動を取る理由を探るユーナは、アシュートと共にシェリアスティーナの足跡をたどり……

ユーナの切ない想いが辛い。

冷酷非道な聖女の肉体を維持するために彼女の中に入った一般人ユーナの奮闘物語、第二巻。
別人であるということを明かさないまま、できることからこつこつと行動し徐々に周囲を変えていくユーナ。そして、少しずつ居場所を確保すればするほど、「シェリアスティーナ」の居場所を取るわけにはいなかいと悩むユーナ。その上、徐々にシェリアスティーナの婚約者であるアシュートに抱く想いが強くなり……ともうユーナの健気さと切なさに涙無しには読めないお話でした。自分のおかれる状況もかなりきついものであるのに、シェリアスティーナのことを考え、彼女の真実を知りたいと奔走する姿がさらに切ない。ユーナのそのまっすぐな優しさがいつかシェリアスティーナの魂を救えることを願わずにはいられません。

そして、謎が謎を呼ぶ「シェリアスティーナの体にユーナの魂が入った」事情。どういう理由でユーナが、と思いましたがシェリアスティーナとユーナの過去が大きく絡んでいる模様。その理由はまだまだ謎に包まれていますが、果たしてどうなることやら。ユーナもシェリアスティーナも幸せになれるような結末だと信じたいのですが、今のままではユーナに辛すぎる……

img道果ての向こうの光~二人の聖女と遠い約束~
秋月アスカ/岸田メル
レガロ(2009.12)
ISBN:978-4-7816-0180-9
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