橘屋本店閻魔帳 花ムコ候補のご来店! / 高山ちあき

本の感想, 作者名 た行高山ちあき

和風コンビニチェーンの橘屋は妖怪向けの商品も扱い、妖怪が引き起こす人間界でのトラブルを解決する役目を担っていた。橘屋の分店・酉ノ分店の跡取り娘で半人半妖の女子高生・美咲は家業を継ぐかどうか迷う日々を送っていたが、美咲の前に本店からやってきたムコ候補の弘人が現れる。機会があれば分店を乗っ取るという弘人に対抗意識を燃やす美咲は……

がんばる女子高生、面白かった!

2009年度ノベル大賞・読者大賞受賞作。人間よりの生活をしていた半妖・美咲と彼女の前に現れた妖怪界(?)のサラブレット・弘人の妖怪トラブル解決物語。
店を継ぐか継がないか、自分の中途半端な立ち位置から迷っていた美咲が弘人と事件を解決していく中で、自分の進む道を探っていく美咲のがんばりがかわいかったな。もうちょっと慎重に行動した方がいいよ!と思ってしまいましたが、イマドキのかわいらしい元気な女子高生ゆえの過ちだったのでまあいいや。かわいい。
対する弘人は、たぶん最初は美咲のこと何とも思ってないと思うんですが、だんだんと距離が近付いていっているところにニヤっとしました。近すぎず、遠すぎずの距離感がいいな。家の指示に唯々諾々と従っているように見えて、なにやらいろいろ隠してそうなところもおいしいです。

久しぶりに読んだ現代物(ただし、ファンタジーだよ)ということもあり、結構楽しく読めました。美咲と弘人のなんとも言えない距離感が好きなんで、続きも読んでいきたいです。弘人を意識してぎくしゃくする美咲とかすごいツボだよ……続きも楽しみ。次はせっかくの女子高生設定を生かして学生生活とか生かしてほしいなぁ。

img橘屋本店閻魔帳 花ムコ候補のご来店!
高山ちあき/くまの柚子
集英社コバルト文庫(2010.05)
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