ひみつの陰陽師 ひとつ、秘め事だらけの宮廷絵巻 / 藍川竜樹

本の感想, 作者名 あ行藍川竜樹

陰陽師の名門・賀茂家の存続のため、陰陽師としての力のない兄に代わって宮中に真澄として出仕することにした真子は、そこで陰陽寮の有能だが大きな問題のある飛鳥戸玲雅の下につくことになる。めったに出仕しない玲雅を引きずり出すことに成功した真澄は、玲雅とともに後宮を騒がす美女の物の怪の謎を追うことになる。

あらあら、結構早かった?

コバルト文庫の2011年ロマン大賞受賞作品でこの前シリーズが完結したらしい作品を今更ながらに読んでみました。デビュー作(?)ということもあり、色々な所でちょっと荒いかなぁと感じるところもありましたが、そのあたりあんまりきにせず勢いでばっと楽しく読める、そんな1冊でした。ヒロインが男装している割には女の子っぽいんですが、「男装してるのに女装して後宮で捜査する」というところにうまく生かされてるかなぁ、と(笑)。
玲雅が数字しか愛さない変な人から、真澄の熱意にほだされて徐々に距離が縮まっていくところがいいなぁ、とか、常識人と思ってた玲雅の上司が一番変な人だったなぁ、とか色々楽しかったです。「持っているけど持っていない」玲雅と真澄、それぞれの苦悩の対比がなかなか読み応えが合ったなぁと感じました。

わりと早めに「アレ」がきたのにびっくりしたのですが、これから玲雅君は真澄の気付かないところでいろいろ大変な目にあうのですね……楽しみです。楽しみといえば、個人的に萌祇ねえさんが!面白いばあさまだなぁと思っていたんですが何やらなかなか重要な役目をになっておられるご様子。このあたりもどう動いていくのか、楽しみです。

ひみつの陰陽師 ひとつ、秘め事だらけの宮廷絵巻
藍川竜樹/みずのもと
集英社コバルト文庫(2011.11)
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