花冠の王国の花嫌い姫 / 長月遥

本の感想, お気に入り, 作者名 な行長月遥

重度の花粉症を何とかするために花にあふれる大国から花のない土地に嫁ぐことを熱望するフローレンス王女は、ようやく婚姻を希望するという返事を北方の辺境国の第一王子イスカからもらう。花粉症から脱却できると意気揚々とイスカの元に向かったフローレンスだが、この婚姻の裏にあるものを勘ぐられてしまう。

可愛らしいお話でおもしろかったです。

えんため大賞奨励賞受賞。ひどい花粉症のため引きこもっていた王女様が、花粉症の発症しない国ではじめて王女らしい活動に勤しむお話。相手役のイスカが「顔は一級品(クール系)だが中身は純朴・誠実な田舎の青年」という結構珍しい役どころが面白かったです。その見た目を最大限利用して外交しているという設定ががあるわりには、そのあたりに若干無頓着という点には若干疑問を感じたのですが、そのあたりを横においておいても、このメインの二人が徐々に距離を縮めていくという、少女小説的に一番美味しいところが一番おいしくいただけたのでとても満足です。

国と国の関係でのトラブルを何とか解決するお話で、そのあたりは解決法を含めて可もなく不可もなくなのですが、フローレンスとイスカのあれこれがとても良いものだったので問題なし。腹黒な妹大好きお兄ちゃんもおられるし、今回はまだ婚約期間も終わっていないので続き出ないかなーとなんとなく期待しています。

花冠の王国の花嫌い姫
長月遥/まち
ビーズログ文庫(2016.03)
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