招かれざる小夜啼鳥は死を呼ぶ花嫁 ガーランド王国秘話 / 久賀理世

本の感想, 作者名 か行久賀理世

ガーランドの先王の遺児エレオノーラは、さびれた古城で幽閉生活を送っていたが、現第二王子ダリウスの花嫁として宮廷に戻ることになる。第一王子・第二王子の婚姻をめぐり陰謀が渦巻く宮廷で、早速エレオノーラを狙った事件が発生する。

両片思いだ~!

コバルト文庫の硬派な宮廷陰謀少女小説、素晴らしい……。落ち着いたストーリー展開、落ち着いたヒロイン、落ち着いたヒーローとあんまり派手さはないのですが、こう、堅実な展開というかしっかりした宮廷陰謀モノというかで大層好きなお話でした。最後の方の展開については、もしかしてそうなのかなーでもそれはそれで嫌だなーどうなるのかなーという推理部分も楽しかったです。

ドジ、元気、空回りヒロインモノも楽しいといえば楽しいですが、落ち着いたヒロインは(動きが少ないものの)これはこれでじんわりとくるストレスがなくてよいものです……。しかも誰がどう見ても(そして周囲の人物はわかってるけど本人たちに自覚なしという)両片思い。おいしい。少女小説の醍醐味。さらにお兄ちゃんと弟(第一王子と第二王子)の仲の良さも良い。嫌なところがないお話で読んでいて幸せでした。

招かれざる小夜啼鳥は死を呼ぶ花嫁 ガーランド王国秘話
久賀理世/ねぎしきょうこ
集英社コバルト文庫(2018.08)
amazon/honto/BOOKWALKER