マリエル・クララックの求愛 / 桃春花

本の感想, 作者名 ま行桃春花

かねてからセヴラン王子よりアタックを受けていたマリエルの親友ジュリエンヌが、ついにセヴランの母である王妃と面談することになる。その関係で女官として城に上がることになったジュリエンヌの付添でマリエルまでもが臨時で城勤めをすることになってしまう。

大層キュンキュンゴロゴロでごちそうさまでした……(ゴロゴロしすぎて疲れた)

シリーズ6冊目、チョロくて不遇な王子様セヴランの嫁取り編、ちゃんと決着ついてよかった……楽しかった。ジュリエンヌのために自ら死地(比喩)に赴き萌えを理解する度量の広さ、シメオンとは違う意味でかっこよくて、しかしたどり着いたのはそこか!というのもあって読みながら爆笑してしまいました。しっかり者のジュリエンヌとお似合いだなぁとニヤニヤしながら読んでました。辛い(ラブコメが面白すぎて)。求婚シーンも、え、そこから?っていう斜め上からの入り方で本当に面白かった。王子様すごい……。

一方のマリエルとシメオンは、相変わらずの熱々ぶりではあるのですが、お仕事中のシメオンはお仕事第一でそこのギャップに萌えるマリエルがこれまた良かった。このシリーズは歳の差ものであるのですが(よく忘れる)(しかも王子様とジュリエンヌも同じ分だけ歳の差が……あるはずなのに感じられないな……)、今回はそこの醍醐味も味わえて一粒で二度美味しい感を味わっていました。なんのかんのでお嬢様生活をしているので働きに出たことにないマリエルに、働くこととはということをきちんと伝えるシメオンさん、さすが年上のできる男ですね……甘やかすだけじゃなくてちゃんと導いているところがよいものでした。それにしてもシメオンさん、今回もクライマックスでまた一つ「そんなこともできるんかい」というさすがの有能ぶりだったんですが、さすがヒーロー。酒癖が悪いのと、女性の趣味が悪い(本人談)以外は完璧じゃないかこの人。

今回は求婚騒動の顛末が、まさかそれが原因?と若干肩透かしなところで終わるかと見せかけて最後にもう一山すごい騒動を持ってきたのがこれまた良かったです。私、実のところあのちょっとした事件の部分で終わるかと思ってた……。
ラブコメ部分の強烈さにたまに忘れそうになるのですが、シリアスな部分も結構面白くて、暗躍する隣国の陰謀や前回行方不明になったスパイの影など、いろいろと気になる部分も多いので続きも楽しみです。

マリエル・クララックの求愛
桃春花/まろ
アイリスNEO(2019.11)
amazon/honto/BOOKWALKER