指輪の選んだ婚約者3 花嫁修業と騎士の最愛 / 茉雪ゆえ

本の感想, お気に入り, 作者名 ま行茉雪ゆえ

結婚を間近に控えた王太子の婚約者リブライエル付きの侍女として、王宮に期間限定で出仕することになったアウローラは、王太子の口添えもあり婚礼衣装作りに参加する機会を得る。国内屈指の仕立て屋の最高級のドレス作りに関わることとなり俄然張り切るアウローラだが、王太子の結婚を妨害しようとする者が巻き起こしたトラブルに巻き込まれてしまう。

今回も、いや今回は更にあっっまーーーーーーーーーいお話でした。ごちそうさまでした。

シリーズ3冊目は王宮を舞台にした陰謀と、最高のドレス(王太子妃の結婚式用のドレス)を目の前にして他のものが見えなくなるアウローラと、牽制兼ねてアウローラを構いまくるフェリクスが読み応えのある1冊でした。ああ、甘かった。何回か読むのやめて深呼吸してしまった……(動機息切れを収めるため)。

1巻の感想で不思議要素は少なめ(のように感じた)というようなことを書いてましたが、かなりガッツリ不思議(魔法)要素が(前回から)絡んできて、1巻読んだときからだいぶ印象が変わったなぁ、という心持ちです。別にそれが嫌とかではなく、そうだったんだ!と読みながら感心しているような立ち位置なんですが。今回のクライマックス周辺の魔法関係のトラブルは、そんな終盤で大事件起こして「次巻に続く」だったらどうしよう!というような心配を抱えながら、ジレジレとよんでいました(しかし同時に、王太子とその婚約者いるしなんとかなりそうというなんとなくの安心感もあったのは事実)。リブライエル様、かっこいいなぁ……。

アウローラへの愛が暴発して身内に「紙より薄い理性」とまで言われているフェリクスが、職場デートを堪能し(ひたすら甘かった。そしてフェリクスが嬉しそうだった)、そこで呆れ半分でフェリクスに適切な距離を求めるアウローラの護衛騎士のカイのツッコミが様式美のような体をなしつつあるなぁと思いながら微笑ましく読んでおりました。アウローラもフェリクスの色気に当てられつつも、目の前に最高のドレスがあると「フェリクスよりドレス!」になってしまう瞬間がたくさんあってこれはこれでアウローラらしくていいなぁとくすりと笑ってしまいます。自分よりドレスが優先されることすら愛おしいというようなフェリクスのぞっこんぶりも楽しく、そして最後の最後にフェリクスさん耐えきれずにの展開が急だな!と思いながらも堪能していました。

次はいよいよアウローラとフェリクスの番、ということで楽しみです。

指輪の選んだ婚約者3 花嫁修業と騎士の最愛
茉雪ゆえ/鳥飼やすゆき
アイリスNEO(2017.12)
amazon/honto/BOOKWALKER