王太子妃パドマの転生医療 「戦場の天使」は救国の夢を見る / さくら青嵐

本の感想, 作者名 さ行さくら青嵐

医大を卒業してすぐに難民キャンプに派遣されたアイシャはゲリラの襲撃にあい死を覚悟するが、気がつくと四百年前の「パドマ」になっていた。二人の王太子と婚約し、初の女性医師として戦場で医療活動を行うなど活躍していたが最後は若くして非業の死をとげたパドマは、このとき一人目の婚約者であるエドワードの主治医としてエドワードの屋敷に向かう途中だという。

俺たちの戦いはこれからだ!で幕が閉じたので続き、続きが必要です……

「現代の医療知識を使って昔(瀉血がメインの治療法レベル)の医療技術をごりごりあげてやるぜ!」というような話かなぁと勝手に思っていたのですが(タイトルのリズム感が良いので、なんとなく)、確かに現代医療知識バリバリ活用モノではあったものの「転生しちゃった☆」というようなノリではなく、早逝した一人目の婚約者である王太子(エドワード)を、そして国を救うために歴史を変えていこうとするアイシャの奮闘の物語でした。転生したから現代の知識も転生先の知識も全部あるよ、という系ではなく、転生先の「パドマ」としての知識は全てない状態でのスタートなので、ここをどうごまかすのかな、というもポイントでした(ほころびが目立ちまくったごまかし方ではありますが)。

史実(?)であるエドワードの早逝の背景やら、女性が軽視されていた時代にパドマがどうやって医師団に食い込んだのかあたりの諸々はうまく繋がっていてなるほどーと感心。一山越えてエドワードの周囲にも人が集まりだしアイシャ(パドマ)とエドワードの関係も非常に良くなりだし、王位を狙う第二王子に静かに宣戦布告というところで以下待て次巻!みたいな終わり方だったので続きが読みたいです、続きでますか?!

王太子妃パドマの転生医療 「戦場の天使」は救国の夢を見る
さくら青嵐/カズアキ
角川ビーンズ文庫(2020.12)
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