昔返りの乙女と竜の王たち 四竜の帰還と再会の約束 / 河上朔

本の感想, 作者名 か行河上朔

ある日、巨大な光の柱が立ちその日から国のあちこちで「前世の記憶」が蘇り、昔の記憶に振り回されるという「昔返り」が頻発していた。辺境のケトムの村に住むアナベルも、太陽王ソールに恋するミリヤの記憶を得ることになったが、同時に「昔返り」をした人から昔の記憶を消すという「鎮めの乙女」としての力も手に入れる。太陽王ソールの記憶を持つという青年ローシとともに旅をすることになり、「太陽王ソール」の腹心の前世の記憶を持つクレフやエレノスとも合流することになる。

あくまでも「普通の女の子」のアナベルがかわいかったなぁ。

wonder wonderfulが非常にお気に入りの河上さんがなぜかいきなりアイリスで!と楽しみだった作品、地に足の着いたファンタジーで楽しかったです。前世の記憶が蘇り、そして特別な力を手に入れたものの最後までどことなく「普通の女の子」のアナベルと、彼女の力を巡って繰り広げられる「大人の駆け引き」と「大人の思惑」のお話。そして、アップルパイがおいしそうな話。これはアップルパイを買いに走るレベル。

ローシ様の胡散臭さが最初からマックスすぎて、ローシ様以外もみんなどういう立ち位置でこの物語に関わってくるのだろう、このお話がどう展開していくのかなぁとページをめくる手が止まりませんでした。ソール関係の着地点はなーるほど、と予想外の(そして言われてみればそうだなという)所に落ち着いて、落ち着いたものの続きもあってもいいのよ!と思うオチだったので続きでないかなーと思っています。そしてクレフさんがとてもお父さんだったので、お父さん頑張れと思いました。

昔返りの乙女と竜の王たち 四竜の帰還と再会の約束
河上朔/ゆき哉
一迅社文庫アイリス(2014.01)
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