翡翠の森の精霊師 夢見る竜と男装の乙女 / 瀬川月菜

作者名 さ行瀬川月菜

通常男性しか精霊師の力を持たないと言われる中で精霊師としての力を持つキーラは、女性であることを隠して亡き兄の名ルークを名乗り、父亡きあとは翡翠の森で一人で生計を立てていた。一つの場所に留まり、性別を隠して暮らしていくことに限界を感じはじめたキーラは、副都の有力者の依頼をこなすことで旅の資金を稼ぎ、父や兄と過ごした翡翠の森から旅立つことを計画するが、ある依頼を解決しようとする中でトラブルに巻き込まれる。運良く副都の守備隊の隊長ヴァーツラフに助けられたキーラは、安全の確保のために「女装」してヴァーツラフに匿われる事になる。

ニヤニヤが止まらなかった……

性別隠して男装している女の子が、隠れるために女装するという一周回って正しいんだけど!というようなファンタジーで楽しかったです。表紙見た限り、ヴァーツラフさんすごくいい人だけど鈍感そうなので、早く気付け、気づいてよ!という話なのかなぁと思っていたんですけど、かなり初期で気付いらした模様で(なんとなく気付いてるのかなぁと言うような描写だったので、あとで少し読み直したときにニヤニヤが二倍)、逆にキーラに気付かれてるって気付いて!とヤキモキしてしまうような展開でした、ごちそうさま。
キーラは精霊師であるために必死に性別を隠しているものの、本来の性別に戻ってヴァーツラフの家で生活するところの新婚さん(もどき)的なやり取りが楽しかったり、ヴァーツラフとキーラがお互いにが惹かれていく様子が少女小説ってよいっすなというあれこれで……(語彙力がないので困ったらこのフレーズを引っ張り出してくる)。女性の精霊師が認めれれない世界で、精霊師であるものの「女性」ということに負い目を感じているであろうキーラを支えるヴァーツラフさんの男前さとキーラのひたむきさがいいバランスだったなぁと感じました。

いくつかの謎は謎のままなので若干気になるため、できれば続きも読んでみたいんですけど読み切りかなぁ。国王様とか、ヴァーツラフさんのご実家とか多分すごい楽しいと思うんだけど。

翡翠の森の精霊師 夢見る竜と男装の乙女
瀬川月菜/鈴ノ助
一迅社文庫アイリス(2018.07)
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