帝都退魔伝 虚の姫宮と真陰陽師、そして仮公爵(上)/ 和泉統子
ミアの一生懸命さが可愛かった。
架空和風ファンタジー上下巻の開幕編。最初、物語の背景というか世界観を掴むまでちょっと読みにくかったのですが、序盤以降はグイグイと読み進めて行くことができました。和泉さんの作品はシリアスながらも笑えるところが多いのが特徴だったのですが、今回は(陽太のノリが軽いのを除き)あまりコメディタッチの部分はなくていつもと空気感が少し違ったかな、という印象です。どシリアス、というわけでもないし物語が重くて重くて、というものではないのですが。
どうやらこれは陽太と良夜、そしてミアの三角関係ものでは……?というところあたりに思い至ったのは終盤なのですが、そこに至るまでの過程がよいですねぇ。三者三様の心の揺れが丁寧に描かれてて良いものでした、と書いたあとに、上巻で揺れてるのは陽太だけだったということに気づきました。そして、個人的に更にツボにはまったのは陽太と良夜の友情かなぁ?海軍と陸軍、成り上がりと没落、劣等生と神童と何をとっても真逆の二人が、ミアを守る過程で徐々に絆を深めていき、友と呼べる状態になっていくところが、めちゃくちゃ良いものでした!!これでご飯3杯はいける。
黒幕もまだはっきりしておらず、気味の悪い事件ばかり続いているので下巻でどう決着を付けるのか、楽しみです。
帝都退魔伝 虚の姫宮と真陰陽師、そして仮公爵(上)
和泉統子/高星麻子
ウィングスノベルズ(2018.06)
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