マリエル・クララックの婚約 / 桃春花

本の感想, お気に入り, 作者名 ま行桃春花

趣味と実益を兼ねて人間観察を日々楽しんでいる地味で目立たない子爵令嬢マリエル・クララックに誰もが憧れる近衛騎士団副団長シメオンからの縁談が持ち込まれる。どうして自分にこの縁談が申し入れられたかがよくわからないマリエルだが、近くで美味しい素材を堪能できる役得を満喫するために申し入れを受け入れ、シメオンのかっこよさ(とそこから派生する妄想)に悶絶する日々を送ることになる。

とても楽しいラブコメでした。好き。

以前、みかこさん(@晴れたら読書を)の感想を拝見して気になって購入して(案の定)積んでいたシリーズ1冊目。めちゃくちゃ楽しい鉄壁のラブコメが読みたい、と荒んだ心を持て余していたときに読んだ一冊なんですが、期待以上に楽しくて色々と回復しました。ラブコメは心を癒やす……。

地味で目立たず、特技:隠形というようなマリエルの立ち位置が面白かったです。ハイスペックイケメンと突如婚約したことによるバッシング等にめげることなく、むしろ得難い経験と楽しみ、実利に生かしていくマリエルのたくましさがすごく楽しかったです。
一方のシメオンについては、遅れてきた初恋・思春期状態なのがすごく楽しかった!マリエルに恋しているのに終盤まで気づいていない(認めていない)のが良いものでした。そして自分で趣味が悪いと嘆いているのが楽しかった(笑)。マリエルはマリエルで割り切っていていつ婚約破棄されてもいいと達観していたはずなのに、シメオンへの恋心を持て余し始めたりと、二人が二人して悶々としているのがいい。読んでるときには思い至らなかったのですが、これはもしかして一種の両片想い……?

結構な冊数出ていて(近々6冊目が出そうです)、たぶんシメオンがずっとマリエルに振り回されているんだろうなぁというニヤニヤ展開を期待できるので(なんせシメオンは誰がどう見てもベタぼれだから)、続きも読んでいきたいです。

マリエル・クララックの婚約
桃春花/まろ
アイリスNEO(2017.03)
amazon/honto/BOOKWALKER