茉莉花官吏伝 二 百年、玉霞を俟つ / 石田リンネ

本の感想, お気に入り, 作者名 あ行石田リンネ

科挙試験を通過したものの、皇帝・珀陽の望む主席通過ができなかった茉莉花は、珀陽とその側近からから誰もが認める功績を上げることを求められることになる。そんな中、茉莉花とその同期に対し新人研修が始まるが、茉莉花は同時期に訪問していた隣国の”わがまま”皇帝の世話役となった女性官吏の補佐役が研修の課題となる。

茉莉花さん、えげつない……と楽しむと同時にちょっと背筋が寒くなってしまいました(いい意味で)。

シリーズ2冊目で、えーと、最新刊まで積んでました!(これ書いてる時点で既刊は8冊、11月に9巻目が出る予定。最近一気読みを始めた)
前巻で皇帝に見いだされて科挙を受けた茉莉花が、まずは官吏の第一歩として新人研修を受ける中で、高貴な来客の世話役チームの一員となって徐々に頭角を見せていくお話。ただの(と言ったら語弊がありますが)新人研修で来客に振り回されるお話かなぁと途中までは思っていたのですが、政権紛争のお話も絡んできて一筋縄ではいかない展開でした。来客さんも、なんか裏がありそうだなぁと思ったら元凶はあなたですか!というような驚きがあって面白かったです。来客さんはスピンオフになっていることは知っていますがこちらも順調に積んでおり……(このあとスピンオフも読み始めた)。

来客を巻き込んだちょっとした陰謀にからんで、その置かれた環境からどうしようもない状況になってしまった先輩を助けるために茉莉花が選んだ”心を折る”作戦はえげつないとしか言いようがなくてもうなんかすごいなぁ、と。いや、これやられたら折れるよね……真面目に仕事してる人だと。茉莉花の優しさでもあり、そして思い切りのよさでもあるこの解決法、とにかくお見事でした。えげつなかったですが。

今巻は男性中心の世界で少数派の女性として働くことの難しさというか、なんというかを突きつけられるような、少々チクリとくるものもあるお話でした。就職したての頃に読んだら、色々と考え方にも影響を及ぼした可能性がなきにしもあらずですが、いい加減擦れてるので、そうそうそうよねー、という気分で楽しんでいきたいと思います。

茉莉花官吏伝 二 百年、玉霞を俟つ
石田リンネ/Izumi
ビーズログ文庫(2017.12)
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