書庫の姫はロマンスを企てる 作家令嬢と書庫の姫~オルタンシア王国ロマンス~(3) / 春奈恵

本の感想, 作者名 は行春奈恵

グリアンと海を挟んで国境を接するクシー伯爵領に、国交がほぼ断絶していた隣国グリアンの特使がリザを現王の六番目の王妃として迎えたいという申し入れとともにやってきた。ちょうど領地にいたアニアは、特使らとともに王宮に急ぎ向かうこととなるが、グリアンの言葉を話すことができる人材が十分いない王宮で、アニアはジョルジュとともに特使を接待する役割を担うことになる。

たしかに姫がロマンスを企ててた……企て方が想定外の方向だったんだけど面白かった!

シリーズ3冊目は(1巻目から比べたらびっくりするくらい)ロマンス成分がまたもや増量した話で、今回は隣国からの縁談に絡んだリザがメインのお話でした。物語の始まり方からして主にアリアのロマンスの話なのかなぁと思っていたところに、「近いうちに他国に嫁ぐかもしれない」リザにフォーカスが当たって、そしてそれがうまくいくような展開にわくわくです。ここまでやっておいて、うまくいかないと少女小説じゃない……と思いながら、そんな過去があるならあるではやく言ってもらわないと!とニヤニヤしながら読んでおりました。べたながらもこういう過去と今のジレジレした関係は大好物です。
そして今回若干薄めながらも微速前進してたアニア方面はですね、もうこれ最後に腹くくったお兄ちゃんの頑張りに期待するしかない感じなので最終巻がめちゃくちゃ楽しみですね。

アニアの(ある意味)特殊能力の一つ・祖父の記憶をフル活用した、違う言葉を使う隣国の島国の政争と今後の関係もなかなか興味深く楽しかったです。この血なまぐささ(と言葉が違う島国の隣国という設定)は確実にモデルはイギリスなので、イギリスのそのあたりを何となくイメージしながら読むとわかりやすさ倍増でした。

書庫の姫はロマンスを企てる 作家令嬢と書庫の姫~オルタンシア王国ロマンス~(3)
春奈恵/雲屋ゆきお
新書館ウィングス文庫(2022.2)
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