作家令嬢と謀略の求婚者たち 作家令嬢と書庫の姫~オルタンシア王国ロマンス~(2) / 春奈恵

本の感想, お気に入り, 作者名 は行春奈恵

前回の事件の顛末から、国で初の女性伯爵となったアニアは、借金だらけの伯爵家の立て直しにいそしみつつ、王女リザ付きの女官もこなすという忙しい毎日を過ごしていた。舞踏会で王太子リシャールとダンスを踊ったことにより、王太子のお気に入りと目され、リシャールとお近づきになりたい面々からの求婚されたり、嫉妬する令嬢たちに嫌がらせをされたりというアニアの前に、リシャールの双子の弟で公爵家に養子に出されて留学していたジョルジュが現れる。

ほんのりロマンス感が出てきた。

シリーズ2冊目。1冊目は「ロマン、ス?」という空気感だったのですが、2冊目になって「これはロマンスだな……(おそらく)」という空気感になってきて楽しかったです。王女様と元伯爵令嬢・今女伯爵の友情が一番ではあることは確かなのですが、いやそれでもいろいろと彩りがあるのは良いものなのです。
今回の陰謀は、宮廷内の権力争いという割には少々小粒で、若干自滅したといえば自滅した感もあるんですが、各位に見せ場があって前回同様堪能いたしました。そんな中、今回は現国王の実子で、三きょうだいの真ん中でもあるジョルジュが物語をかき回していました。ジョルジュさん、当初登場した時とこのお話が終わった時とで印象がガラッと変わった(いい意味で)タイプの変な人なんですが、この人がいないと主人公周りのロマンスは遅々として進まないどころか後退しそうだったので、いい起爆剤といえば起爆剤だったかもしれません。まだ亀の歩みというか双方無自覚というか。無自覚の割には一番いいところをかっさらっていくリシャールさんのヒーローぶりは非常に良かったです。無自覚だからこそ余計にいいというか……(ろくろをこね回す感じで反芻する)

作家令嬢と謀略の求婚者たち 作家令嬢と書庫の姫~オルタンシア王国ロマンス~(2)
春奈恵/雲谷ゆきお
新書館ウィングス文庫(2021/12)
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