蝶の大陸~黄金のエミーリア~ / 入皐

本の感想, 作者名 あ行入皐

人の心によって善にも悪にもなる存在・神魔。その神魔が生み出した”死魔”から国々を守るために設立された神殿騎士団が駐留する神魔門を、伝説の英雄ヴィットーリアの直系の子孫エミーリアが訪れる。幼なじみのルキノと再会したエミーリアは、家族のために剣をあきらめ学問の道を歩もうとするが、死魔に苦しむ人を目の前にその決意は揺らいでいた。


ルルル文庫の佳作賞受賞作品。偉大なご先祖様を自分に重ねられることにプレッシャーを感じているエミーリア。そしてエミーリアを愛するが故に争いから遠ざけようと四苦八苦するものの、その愛情はいつも空回りのルキノを中心に物語は展開していきます。

個人的には楽しめたし、好きな作品です。
先ずはキャラクターが楽しかったです。豪快でアネゴ肌でかっこよくて潔くてしかし天然のエミーリア。そしてエミーリアをひたすら想うルキノ(そしてだいたい空回り;主にエミーリアの鈍感さのお陰)。この二人の掛け合いが面白かったです。ルキノの報われなさがいっそあっぱれで良かったなぁ。
他の騎士団のメンツも割と濃い人ばかりで。団長さんは今回あんまり活躍されていなかったけれども、今後続きがあるのならいろいろとやってくれそうです(腹黒っぽいし……)

自分の居場所を捜し求めるエミーリアがようやく見つけた場所で、今後どのような騒動が起こるのかは非常に楽しみです(続きは、あるよねぇこれ)。

文章は荒っぽいというかこなれていないというかでイマヒトツかなぁと感じる面も多少ありましたが、それ以上に勢いのある作品でしたので次回以降に期待ですね。最初のプロローグで一瞬躓きかけましたが、本編は是非とも読んで頂きたい作品です。

img蝶の大陸~黄金のエミーリア~
入皐/カズアキ(イラスト)
ISBN:978-4-09-452019-4
小学館ルルル文庫(2007/08)
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