身代わり伯爵の結婚 / 清家未森

本の感想, 作者名 さ行清家未森

パン屋に帰ったのも束の間、またもや兄(と王太子)の呼び出しを受け、身代わり伯爵として登城することになったミレーユ。今度は隣国の女公爵・シルフレイアの婚約者候補として彼女の警護を引き受けることになった。そして、望みもしないのに宮廷の陰謀劇に巻き込まれていくミレーユは……


身代わり伯爵第2巻。大変面白かったです。伯爵の正体を知っている人が見たらどう見てもバカップルにしか見えない天然さんのミレーユとリヒャルトのやりとりに終始にやにや、前巻以上に変な人度が加速した宮廷の面々に大笑いでとにかく楽しめました。ねぎしさんのイラストもばっちりはまっていて良かったです。

ありとあらゆる面で「べ、ベタだ……」と思うのですが、ここまでベタで王道な展開が楽しめる物語がありますでしょうか。陰謀面はともかく、各種変な人物達のテンションの高いやりとり(+ミレーユとリヒャルトの天然ラブ漫才)を読むだけで満足です。一番つぶれていたのは間違いなくミレーユ父でしょうね。父が威厳を取り戻す日が来るのかどうか多少気になります。

一番常識人っぽいと勝手に思いこんでいた王太子妃さままであっちの世界の方だったのは少々衝撃を受けました。登場シーンは少ないものの、最後の最後で明かされる真実……。ミレーユの正体に気付いたかな、の第二王子さまがもしかして一番の常識人かもしれない、と思ってみたりしながら、リヒャルトとミレーユ争奪戦に発展かと楽しみでなりません。
そして、セシリア王女様はあの怪力さえなければ割と常識人かもしれませんね。すばらしいツンデレっぷり。彼女のツンデレっぷりを堪能するためには、現在発売中のビーンズ雑誌は必見です(”乙女日記”が引き起こす騒動の短編収録)。

次以降は王宮内だけでなく国外問題でもいろいろとバタバタしそうですね。リヒャルトにもいろいろありそうですが……。陰謀渦巻く世界の中、このテンションを維持して乗り切ってほしいです。

前の感想でこれ以上は男装無理とか書いてしまっておりますが、まだまだいけそうな雰囲気です。続きが楽しみ。

img身代わり伯爵の結婚
清家未森/ねぎしきょうこ(イラスト)
ISBN:978-4-04-4524402-9
角川ビーンズ文庫(2007/08)
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