愛玩王子 白の怪盗 / 片瀬由良

本の感想, 作者名 か行片瀬由良

王子親衛隊の陰謀により学園祭の実行委員となってしまった比奈。学園祭の準備のために毎日遅くまで学校に残る比奈に隠すことなくアプローチを続けるもう一人の実行委員の白川君。白川君が比奈に近づくたびに不機嫌になる王子は、周囲に乗せられ学園祭で主役を演じることになる。


せっかく王子と比奈は同じ学校に通ってるんだから、と地味に期待していた学園ラブコメ(ライバルもいるよ)編です。学園ラブコメといえば学園祭、学園祭といえば劇、劇といえばコスチュームもの、そして学園祭といえば後夜祭で……とおいしいところを見事にすべて網羅しており非常に大満足。タイトルとあらすじと表紙から想像できるところから大きく外れず、安心して読めるラブコメでした。

比奈と王子のラブコメは期待通りなのでおいておくとして、怪盗さんがなんだか予想以上におもしろい人でよかったです。怪盗さんに関しては予想もしてなかった出自なので笑わせていただきました。白川君も怪盗さんも今回限りのキャラにしておくには惜しいように思うのですが……、続きがあるのなら続投希望かな。
そして、最後のいいところというか胸きゅんシーンの余韻をすべてかっさらっていったフォルカスに脱帽です。登場シーンは少ないというのに、どうしてそんなにおいしいところを。魔王パパといいフォルカスといい、魔界サイドの方々はいい味だしてます。

やっぱりこういうラブコメもたまには、と思うほどに楽しめたんですが、比奈の一人称に若干飽きがきてしまったのも事実かも、しれません。悩める乙女の一人称なので仕方ないとは思うのですが、ぐるぐる回りすぎで、そこが一人称の醍醐味といえば醍醐味なんですが個人的にはちょっとダメでした。続きがあるとしたらどうなるのかなぁと楽しみでもありますが、果たして。

愛玩王子 瑠璃色の卵

img愛玩王子 白の怪盗
片瀬由良/凪かすみ(イラスト)
小学館ルルル文庫(2008.01)
ISBN:978-4-09-452044-6
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