グランドマスター! 道連れは王子さま / 樹川さとみ

本の感想, 作者名 か行樹川さとみ

本部の命令を無視し世直しの旅を続ける姫総長シアシーカ率いる<黎明の使節団>は豪華な船旅を満喫することになった。乗組員から乗客まで一筋縄ではいかないメンツばかりがそろい、騒動が絶えない船旅となる。中でも、ハルセイデスの一番の懸念事項は、シーカーの元婚約者である王子様が同乗していることだった。


グランドマスター!第三巻は船上という隔離された場所で引き起こされるあれやこれやのドタバタ騒動。変人揃いの使節団の面々が普通に感じるほど変な乗客や乗組員で溢れてました。登場人物が多かったのでおのおのちょっとずつおもしろかったというのが残念なところですね。じっくり語られたらきっとみんなすごいおもしろく変な人だったと思います。

存在だけは最初から噂されていたシアシーカーの元婚約者の王子様が想像以上に好青年でびっくりしました。ええひとや……。団員たちが知るシーカーと王子の知るシーカーの食い違いがかなりおもしろいです。シーカーに何があったのがは非常に気になるところですよね。最後でちらりとほのめかされていましたが、本編で明かされるのはいつのことでしょうか。
このシリーズの醍醐味といえばハルさんがシーカーに振り回される姿をニヤニヤと眺めることですが、今回も最初から最後までとてもよかったです。序盤の「災害演習」とシーカーから王子を救出しようと(?)するところなんて抱腹ものですね。災害演習というかもはや災害救助です……。他にも、団員たちの盾となり彼らを守っていたなどと、もう団員たちのお父さん姿がすっかり板についたハルさんの姿が非常におもしろいです。ちょっとかわいそうですが。

たまにある甘いシーン(すぐ霧散しますが)も物語をこれまたなかなかにおいしく彩っており一粒で二度三度おいしいシリーズです。というわけで、続きもとても楽しみです。

imgグランドマスター! 道連れは王子さま
樹川さとみ/松本テマリ(イラスト)
ISBN:978-4-08-601141-9
集英社コバルト文庫(2008.03)
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