失恋竜と契約の花嫁 / 渡海奈穂

本の感想, 作者名 や~わ行・他渡海奈穂

魔法の素質はあるのに魔法が使えないため魔法学校を追い出され、故郷に戻ってきたスウェナは薬草探しの途中でドラゴンが抱く宝珠を食べてしまう。方々の体で家にたどり着いたスウェナだが、家には皿と箸を持った竜公爵メリルがやってきてスウェナに宝珠を返せと迫る。宝珠を元に戻す手段を求めてスウェナはメリルと共に伝説の魔女の元を訪れることにするが、道中人とは違う竜の言動に振り回される。


ソフィアの宝石の渡海さんの読み切り(ですよね、これは)の竜と少女のラブストーリー。あらすじの「皿と箸」からどれだけコメディなのかと思ったのですが、コメディなのは「皿と箸」だけでその他はわりと普通。コメディタッチとはいえまあ普通。ほとんどがスウェナとメリルのぼろぼろ道中で進んでいくのでどうやったら噂の超ラブストーリーになるのかと思えば終盤近くにどばんと急進行でした。ああ、びっくりした。

序盤、このヒロインはもしや私の苦手なドジっ娘(テヘ)系かと若干の危惧が混じりましたが大丈夫でした。普通によい子だよこの子は。そしてお相手の竜公爵メリルはこれでもかと言うほどの俺様系男ツンデレですがすがしい。竜のため人の常識が通用しない、しかもその上もとは最強の竜ということでこのみなぎる自信は何なのだ(ただしスウェナに宝珠取られてるので弱体化してます)と感心してしまいました。そしてこの二人のじれったいやりとりに野次馬根性丸出しでこの先どうなるのかとはらはらしながら読むわけです。少女小説的醍醐味を思う存分味合わせていただきましたごちそうさま。

img失恋竜と契約の花嫁
渡海奈穂/池上紗京
B’s-LOG文庫(2008.07)
ISBN:978-4-7577-4328-1
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