佐和山物語 あやしの文と恋嵐 / 九月文
直継の無自覚ラブとそれに翻弄されるあこの初々しいやりとりがすばらしかったです。
ビーンズ文庫新人さんのシリーズ第二巻目。
タイムパラドックスモノは感想書くのが難しいですね!(個人的に)読んでる間と読み終わってすぐは理解しているんですが、それ以降はうまいこと表現できません(鳥頭なので)。
直継の屋敷に引き続き滞在することになったあこが、元いた時間に戻ることにより今の直継と別れることに心残りを感じたり、自分の身に流れる血に悩んだり。そして直継は直継で、あこを元の時間に戻さないとと思いつつも今のあこに惚れちゃったし……という悩みを抱えつつも、体調不良を押してかっこよくあこを助けに現れたりと、二人がそれぞれ抱える「あるべき姿に戻る事へのためらい」というところが非常に良かった!直継のひとつひとつの所作にどぎまぎして、そしてクリティカルヒットを食らうあこのやりとりもとてもにやにやでした。少女小説すばらしい。
あとは新登場のあこの元婚約者・小一郎がこれまた頼れるいいアニキで!直継と違った魅力をもつ彼ですが、これまた素敵です。
前巻では「つづく」はどうかなぁと思ってしまいましたが、この続き方は期待以上に良かったです。派手さはないものの、じんわりとくるこの牛歩らぶがいい。好みだ。
悪役方面は……ちょっとだけちょっかいをかけてきましたが、今回は大きな動き無し。亡霊さん関係は苦手なのでもうこのままあこと直継のうれしはずかしらぶ(ただしお悩みもあるよ)でいいかとちょっと思ったりもしましたが、あこはどうやって元の時間に戻るのか、あこがいるべき時間軸の直継との関係は?といろいろ楽しみです。
佐和山物語 あやしの文と恋嵐
九月文/久織ちまき
角川ビーンズ文庫(2009.06)
ISBN:978-4-04-454502-4
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