ヴィクトリアン・ローズ・テイラー 恋のドレスと舞踏会の青 / 青木祐子
ヴィクトリアン時代のイギリスが舞台の、引っ込み思案の仕立屋さんと名門貴族のご令息の恋物語。両思い記念ということで糖分大盤振る舞いしすぎの展開でした。あー、胸焼け(しそうな勢い)。
このシリーズはシャーリー(注:いわゆるヒーローポジション)の乙女度を堪能する話だと数巻前から楽しみ方の方向転換をしてしまっているのですが、期待に違わずとても乙女で良かったです。さらに嫉妬で強気発言!さすが名門貴族。みなぎるオーラが違います。念願のアレも手に入れたことでさらにパワーアップしているシャーリーでした。
クリスはシャーリーのおかげで徐々に前に進んでいく姿が印象的です。恋する女の子はいいなぁ。一方のアディル嬢のかっこよさと切なさといったら!恋は恋した方が負けという展開を地でいっているような彼女ですが、かっこいい女性なので寂しい結末は嫌なんですがでもそうなると……。
今回は舞踏会が舞台。舞踏会のきらびやかさが随所随所に描写されていて、読みながらとても幸せ気分になりました。青木さんのこういう部分の文章はごてごてしすぎなくてテンポもちょうど合うのでなんだかいいなぁと思います。やっぱり舞踏会はキラキラしてないと。
次からは糖分が元に戻るらしいので、かなりほろ苦い展開になりそうです。絶対的な身分の壁というものがあるだけに、どういう結末を迎えるのかよくわかりません。こうなったら車作りに二人でアメリカ大陸!というラストを今思いつきましたが、さてどうなることやら。
恋のドレスと舞踏会の青 ヴィクトリアン・ローズ・テーラー
青木祐子/あき
集英社コバルト文庫(2008.01)
ISBN:978-4-08-601245-4
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