双剣の影使い 夕映えの丘のリーザ / 月野美夜子

本の感想, 作者名 た行月野美夜子

母を亡くし、夕映えの丘で一人暮らすリーザは幼なじみ達の久しぶりの訪問を受け、楽しい時間を過ごしていたが突如巨大な蜘蛛に襲われる。蜘蛛の襲撃で幼なじみ達をなくし、一番仲の良かったルイが行方不明になる中一人生き残ったリーザ。ルイを探すために旅に出たリーザは、途中命の危機を救ってくれた青年騎士テリウスと共にルイがいるらしいというドルバドールを目指す。

良い幼なじみでした(正座)。

第2回小学館ライトノベル大賞ルルル文庫部門佳作受賞作。「影使い」と呼ばれ、その影を切り取ることで人の力を最大限に発揮させるという国の宝を巡り、隣の国の悪人が暗躍し、それに巻き込まれる田舎に住む女の子の話。わりとまじめ目なライトファンタジーでした。幼なじみを捜す旅に出たリーザ、リーザを守るためにある選択をしたルイ、「影使い」を守る存在ソードになるために修練を積んだテリウスとメインの三人が好感度高くて良いです。がんばる女の子はよいモノです。無駄に暴走系ではないので思わず応援したくなります。幼なじみはよいモノです。突き放したいけど突き放せないとかとてももえますね。かっこいい騎士様もよいモノです。そのストイックさが素敵です。

まったり目に進むのかなぁと思っていたら、まったり所か序盤がわりときつめの展開で、イラストとか見る限りほわわん系と勝手に思いこんでいたのでいい意味で裏切られたように思います。しかし、悪い人はやってること酷いんですがなんかえらく間抜けなように思えてですね……、手応えはあるんですがこれぞ悪人っ!という存在感に若干欠けていたのが残念です。

ちょっと読みにくいかなぁと感じるところがあったんたり(どこがどうとは申せませんので、私の感覚に合わなかったのかな?)話のカラクリは中盤で何となく読めたりですが、幼なじみにどう決着がつくかが楽しみで最後まで楽しく読めました。「影使い」関係の設定は結構面白かったので、なんかまだ続きそう。今度は中央編とか?悩む騎士様とか都会の生活についていけないリーザとルイとかルイの出生の秘密とかいろいろおいしそうなネタがたくさんありそうです。

双剣の影使い 夕映えの丘のリーザ
月野美夜子/梨月詩
小学館ルルル文庫(2009.09)
ISBN:978-4-09-452128-3
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