ハルミティアの花庭~壊しの聖女と赤炎の王子~ / 香月沙耶

本の感想, 作者名 か行香月沙耶

高価なものに限って触るだけで壊してしまうため、「壊しのセラフィーナ」という不名誉な二つ名をもつことになったアランデル家のセラフィーナ。国の宝である「富貴花」を育てる学校で取り返しのつかない失敗を知ってしまい、辺境にある領地に戻ることになる。出発の前夜、通りがかりの庭で謎の青年が咲かしていた「富貴花」を粉々にしてしまったセラフィーナは弁償するかわりにその青年に嫁ぐことになり……

オレサマ王子様と天然なお嬢様の一歩ずれた物語。

オレサマ度が結構いいという評判を聞いて読んでみました。オレサマといってもとがりすぎず、そしてお嬢様のずれた反応の数々が面白くて楽しんで読めました。高価なものを壊してしまうお嬢様、貴族の娘しか開花させることのできないはずの富貴花を咲かす力を持つ王子様。そしてそれぞれに腹心の侍女と物わかりのよい腹心、妙なノリのお兄ちゃんにその婚約者と登場人物が妙に個性的なばかりでおかしかったです。お嬢様のおとぼけっぷりというかそのズレ具合ツボにきすぎた……(一歩間違えたら苦手なタイプなんですがこれはいい)。
お嬢様や王子の持つ力の意味やセラフィーナが王子に対する想いを形にする過程など、物語の筋自体もなかなかに興味深く。きれいに着地したので続きはないかなぁと思いますが、なんかえらい思わせぶりな人もいたので続くのかな?とも思ってみたりします。

ハルミティアの花庭~壊しの聖女と赤炎の王子~
香月沙耶/羽鳥まりえ
B’s-LOG文庫(2009.09)
ISBN:978-4-04-726010-6
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