シャーレンブレン物語 はじまりの約束 / 柚木空
綺麗にまとまった納得のエンディングでした。よかった!
王都に蔓延する疫病、入れ替わった「癒し姫」、事件を影で操る「詩人」、そしてユリウスの「決意」とは……と最終巻にふさわしくいろんな物事が綺麗にあるべき所に収まった最終刊でした。おまけのカラーピンナップがとてもいい!
いろいろ見事に収まったのであんまり書くことがないんですが(もうとても満足している)、シリーズ開始当初は蚊帳の外にいたミナワが最後にはユリウス達と立ち向かい、そしてユリウスの「決意」を支えたということろがとても良かったです。ユリウスがミナワに心情を吐露する場面など、今までお互いの立場から抑えていた気持ちがあふれ出ていく所などは感慨深いものがありました。あ、あとユリウスは怪我でダウンしてるのでヒーローポジションはほぼミナワ。
事件の顛末についてはなかなかビターな結末でした。わりとほんわりしている雰囲気のお話ですが(おもにミナワが醸し出す雰囲気のおかげで)、締めるところは締めているのでこのビターさがまたいい調味料になっていたと思います。[奇蹟の力が人の手に、というユリウスの聖女としての最後の言葉]がすごく良かった。
しかし、最後の最後にこれだけはいいたい。エメ様とアレクの決着はついたんですかちょっとこれだけは短編集とか何かで明らかにしてほしいよというかたぶんあの全てあかされたときのエメ様の反応から何の障害もないと思うんですが実際の所はどうなんですか!(息継ぎなしで主張したいくらい気になる)。
シャーレンブレン物語 はじまりの約束
柚木空/鳴海ゆき
小学館ルルル文庫(2010.02)
ISBN:978-4-09-452149-8
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