影詠みの天花―胡蝶の舞と月の記憶― / 栗原ちひろ

本の感想, 作者名 か行栗原ちひろ

人や物にとりつく「影」を詠み、封じることを生業とする「巫」の天花は、胡蝶街一番の腕をもつ巫として活躍していた。その天花が祭の日に再会したのは、7年前に急に天花の前から姿を消した月長。天花は月長との再会を喜ぶ暇もなく、「影」にとりつかれているという大陸からやって来た高貴な人物の警護にあたることになる。

男性陣が総じて変(ほめてる)

なんだか日本の大正時代っぽいようなそうでないような不思議な世界を舞台に、歓楽街で「巫」という特別な「遊女」を生業としている少女と、その幼なじみが再会して大きな事件にかかわっていくお話。
天花の一生懸命さと月長への恋心がとても少女小説で胸一杯です、ごちそうさま。少女小説はよいモノです。そして、マイペースそうに見えて端々に鋭いものを隠す幼なじみ、緩そうに見えて心に闇を持つ皇子、剣の道に生きる軍人、うさんくさすぎる情報屋と個性的な男性陣も魅力的だなぁ。一番まともそうに見えた鳩さんもかなり変だったけど!
ここがこうつながっていくのか、と感心しつつ、鳩さんの衝撃の発言に続きも気になりつつで続刊も楽しみです。

img影詠みの天花―胡蝶の舞と月の記憶―
栗原ちひろ/睦月ムンク
一迅社アイリス文庫(2010.09)
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