永遠なんか知らない <運び屋>リアン&クリス / 清家あきら

本の感想, お気に入り, 作者名 さ行清家あきら

認定キャリアーのライセンスを手に入れたリアンは、ダラスでも有力なアースキン家のご令嬢ウェンディからの依頼を受ける。リアン達を贔屓にしてくれることになったウエンディだが、リアンのミスから荷物と盗まれてしまうという失敗を犯してしまい、賠償としてクリスがウエンディの家に行くことになってしまう。クリスを取りもどすため、リー博士とともにリアンが取った行動は……(「人形なんかじゃいられない」)

人の永遠と、ロボットの永遠と。

運び屋のコンビ・リアンとクリスの物語、二冊目にして完結編。とある事情を抱えたお嬢様のもたらしたトラブルに奔走される「人形なんかじゃいられない」、史上最強最悪の生物・赤ん坊を預かってしまったことにより妙に大きな陰謀に巻き込まれる「永遠なんか知らない」、そして書き下ろしの十年後ぐらいのショート「マイルストーン」の三編収録。

リアンやその周りの人と過ごすことにより、徐々に「人」くさくなっていくクリス。そしてクリスを通じて変わっていく人々。ロボットだからとか人だからとか、そんなこと関係なくてみんな「クリス」だから好きなんだろうな、と感じられる雰囲気が大好きです。リー博士も思っていたよりもご活躍で、そして迂闊な天才科学者ぶりが面白かったり、強力な味方となったウエンディの頼もしさや、博士とのアレコレにほわっとしたり。
最後の後日談も後日談好きの人間としては非常においしいボーナストラックでした。そりゃ、あんだけ完璧なクリスが近くにいるとリアンに女性の影はないだろうなぁ(笑)。

あと、「生き物はこりごり」のお話はここで読めます(感想書いた日時点では)。頼りになるけどどこか抜けてるリアンがやっぱり面白い。

img永遠なんか知らない <運び屋>リアン&クリス
清家あきら/山田睦月
新書館ウィングス文庫(2010.10)
bk1/amazon